2020年1月1日水曜日

先行きが不透明な世界

先行きが不透明な世界で生き抜くために役立つ5つのヒントとは?




現代社会にはさまざまな問題が山積しており、先行きが不透明な時代に不安感を覚える人も多くいます。人々は将来の不確実性に不安を覚えやすくなっているという研究もある中、ジョージタウン大学の心理学者であるJelena Kecmanovic氏が、「将来が不確実な世界で生き抜くための5つのヒント」について解説しています。

2017年にアメリカ心理学会が実施した(PDFファイル)調査では、アメリカ人の63%が「国の未来」に、57%が「現在の政治情勢」によってストレスを受けていることが判明しています。多くの人々が不確実性を嫌いますが、個人の努力だけで政治や環境問題の不確実性を減らすことはできません。しかし、Kecmanovic氏は「不確実性への許容度を向上させることはできます」と主張し、5つのヒントを挙げています。

◆1:あえて不確実性に直面するよう努める
人は日常生活の中でも多くの不確実性に直面しますが、あやふやで未知のイベントは不快感を伴うため、できるだけ人々は不確実なイベントを避けようとします。仕事についてわからない点があればすぐに誰かに助けを求めるか先延ばしにして、出かける前には天気や交通機関について入念に調査を行い、誰かと待ち合わせをする時は直前に何度もスマートフォンでやり取りを重ねる人が増えています。

こうして不確実性を回避することは短期的にストレスの軽減につながるものの、長期的に見れば不確実なイベントへの耐性を失ってしまう結果になるとのこと。「不確実性への耐性は鍛えなければ弱まってしまう筋肉のようなものです」とKecmanovic氏は述べており、あえてGPSに頼らず直感で目的地まで歩いてみたり、事前にアーティストの曲を聞かずにコンサートへ行ってみたりすることで、不確実性への耐性を強められると主張しました。


◆2:より大きな目標に目を向ける
イタリアの神経学者であり、ユダヤ人コミュニティの出身でもあったリータ・レーヴィ=モンタルチーニ氏は、第二次世界大戦中にムッソリーニの人種政策によって学術的職業から追放され、自宅に作った研究室で神経繊維の成長に関する実験を継続しました。当時の実験が神経成長因子および上皮細胞成長因子の発見の功績につながり、モンタルチーニ氏はノーベル生理学・医学賞を受賞することとなります。

ナチス・ドイツが猛威を振るった第二次世界大戦中、モンタルチーニ氏はユダヤ人であることによる身の危険や戦争そのものの先行きなど、さまざまな不確実性に囲まれていたといえます。そんな中で研究から得られる成果は、モンタルチーニ氏にとって究極の不確実性に対処する助けになったとのこと。

Kecmanovic氏は、人生の目的を見つけたり再発見したりすることが、人生の不確実性ストレス・不安に対処する上で役立つと指摘。また、人間の有限性を超越する宗教やスピリチュアルな存在、社会的な大義への献身といったものも、不確実性に起因する不安や抑うつに対処する助けになると述べています。


◆3:自身の対処能力を過小評価しない
人が不確実性を嫌う理由の一つには、「物事が悪くなってしまったらどうしよう」という不安があります。そして人は、人生を悪い方向へ持って行きかねない負のイベントに直面した際、自分には対処する十分な能力がないと思ってしまいがちだとのこと。

しかし、人は悪いことが起きた時の気分を過大に評価して恐れるのと同様に、自身の対処能力を過小評価しているとKecmanovic氏は述べています。人は非常にストレスの多いトラウマ的な出来事に遭遇しても、ショックから立ち直る強い回復力を持っているとのことで、思っているほど不確実な出来事を恐れる必要はないとKecmanovic氏は訴えています。


◆4:セルフケアを万全にして回復力を高める
「よく眠り、よく運動して、社会的なつながりを持つことが幸福な人生の鍵になる」という言葉はよく耳にしますが、実際に睡眠の質と量が不確実性がもたらす不安に対処する能力に影響しているとのこと。同様に有酸素運動も不確実性に伴う不安やストレスを軽減するとのことで、身体的な健康と同様に睡眠や運動が不確実性への対処にとって重要です。

また、孤独は人の安心感を損なうものであり、不確実性への対処力を弱めてしまいます。「自分が誰かとつながっている」という感覚は、不確実な世界を生き抜く上で大きな支えになり得るものといえます。


◆5:「絶対に確実なもの」はないと認める
そもそも人生において「絶対不変の確実なもの」は実際のところほとんどなく、不確実性はあらゆる場所に遍在しています。人生の全てを予測してコントロールしようとする試みはむしろ逆効果になりかねず、行き過ぎると強迫性障害になるおそれもあります。できるだけ早い段階で「人生に確実なものは何もない」と認めることで、不確実な人生に対処しやすくなるとKecmanovic氏は述べました。



2019年12月31日火曜日

依存性の強いとされている5つの薬物

地球上で最も依存性の強いとされている5つの薬物と脳への作用

iStock-892092130_e

最も依存性の強い薬物はなんだろうか? シンプルな疑問だが、誰に尋ねたかによって異なるだろう。というのも研究者によって、薬物の依存性を判断する視点が異なるからだ。

 薬物の依存性を評価する単一の基準はない。その為か研究者により評価は様々だ。中には絶対的な依存性を発揮する薬物などないと主張する研究者すらいるくらい、いろいろな見方があるのである。

 ここでは、それを踏まえた上で、2007年に研究者らが作成した依存性ランキングを紹介しよう。

1. ヘロイン

1_e

 依存性ランキングで1位に輝いたのはヘロインだ。

 依存性スコアで最大の3をマークしたヘロインはオピエート(ケシの実で生成されるアルカロイド)であり、動物実験では脳の報酬系であるドーパミンを一気に200パーセント高めることが確かめられている。

 依存性が極めて高いだけでなく、危険でもある。ヘロインでハイになるために必要な服用量が致死量の5分の1ときわめて近いからだ。気持ちよくなるころには死が迫っているというわけだ。

 また使用者と社会双方への有害性を調べたランキングでは2位となっている。

 2009年度、ヘロインを含むオピエートの違法市場は、世界で約7兆4800億円と推定されている。



2. コカイン

2_e

コカインは脳内のドーパミンの機能に直接干渉する。本質的に、コカインは神経細胞がドーパミンシグナルのスイッチを切れなくしてしまうのだ。

 その結果として、ドーパミンの異常な活性化が生じることになる。動物実験では、コカインによってドーパミン濃度が通常の3倍以上に跳ね上がった。

 推計によれば、世界で1400万~2000万人がコカインを服用しており、2009年のコカイン市場は約8兆2500億円であった。

 有害性ランキングの評価では、クラック(コカインを精製した麻薬)は3番目に有害な麻薬で、より穏やかなハイを作り出す粉末コカインは5位であった。

 コカインに手を出した人の21パーセントはいずれこれに依存するようになるという。



3. ニコチン

3_e

ニコチンはタバコの主要な依存物質である。タバコを吸った人の肺ではニコチンが速やかに吸収され、脳に到達する。

 米国の調査では、喫煙者の3分の2がニコチン依存症になると報告されている。

 2002年のWHOの報告書では世界には10億人以上の喫煙者がおり、また2030年までに毎年800万人がタバコが原因で亡くなるだろうと試算されている。

 動物は喫煙を避けるような本能があるようだが、ラットの実験では血流にニコチンが流れるボタンを押すよう訓練することにも成功している。その際、報酬系のドーパミン濃度は25~40パーセント上昇したという。



4. バルビツール酸系(抗不安薬・睡眠薬)

4_e

バルビツール酸系はもともと抗不安薬や睡眠薬として利用されていた。
 
 ブルーバレット、ゴリラ、ピンクレディといった俗称で知られるこれは、化学的なシグナルに干渉し、脳のさまざまな領域を沈静化してしまう。

 低容量であれば多幸感をもたらすが、服用が多くなれば呼吸まで抑制し、死に至らせることもある。

 バルビツール酸系の薬剤が処方されていた時代はその依存症も一般的だったが、ほかの麻薬が登場したことで急速に下火になった。

 このことは薬物依存症における社会背景の役割を浮き彫りにする。つまり依存性のある薬物が広く手に入れられるような状況でないのならば、ほとんど害はないということだ。



5. アルコール

5_e

スーパーやコンビニなどで普通に売られているが、その依存性は高く、スコアでは1.9(最大3)と評価されている。

 アルコールは脳にさまざまな影響を与えるが、動物実験ではドーパミン濃度を40~360パーセント上昇させることが確認されている。しかも飲めば飲むほど、それだけドーパミンが放出される。

 アルコールを摂取した人の22パーセント程度がいずれ依存症になる。

 WHOの推定では、2002年にお酒を飲む人は20億人おり、飲酒による健康被害で亡くなった人は2012年に300万人いたとされる。

 別の評価では最も有害な薬物に選ばれてもいるので、身近にあるからといって甘く見ないほうがいい。

その時代に生きた人々の息づかいが感じられる写真集に

1985年~1986年の大阪で撮影された1000枚超ものモノクロ写真が一挙公開、その時代に生きた人々の息づかいが感じられる写真集に 2020年2月8日、 kouichi morimoto さんが1985年から1986年ごろに大阪で撮影した1000枚もの写真を、写...