乗客が快適な空の旅を楽しめるように、各航空会社は工夫を凝らしてフライトで様々なレベルのサービスとアメニティを提供している。しかし、それとは対照的にどの航空会社にも一貫していることを挙げるとなると、どんなことを思いつくだろうか。
機内のトイレが窮屈なこと?料金で座席の大きさが違うこと?トマトジュースがなぜかおいしく感じること?
他にもほとんどの航空会社の長距離便に共通していることが存在する。それは、座席の色が青色をしていることだ。いったいなぜなのか?
青は最も効率的なカラー
航空会社は世界中に数多く存在する。なので全ての航空会社が青色の座席シートを使用しているわけではない。
イギリスのヴァージン・アトランティック航空などのように、座席の色を赤で統一している航空会社もあるし、飛行時間が短い国内線の座席はグレーや黒などを採用している航空会社もある。だがアメリカの長距離便はほとんどの航空会社が青色なのだ。
サウスウエスト航空やアメリカン航空、ユナイテッド航空などの航空会社はシートを青にしているが、青色が優れている理由が3つあった。
清潔に保つのが最も簡単な色
まず、青色は座席を清潔に保つのが最も簡単な色と言われている。また、少なくとも清潔であるように見せるためのベストカラーなのだそうだ。青を座席に使用すると、汚れやシミが生地に溶け込みやすくなる。つまり、座席の汚れがあまり目立たなくなるということだ。
この効果は、白っぽい座席や暗い色の座席ではあまり見られないそうだ。青い座席を使用している航空会社は、この汚れカモフラージュ?のため、頻繁に座席を交換する必要がなくなるというわけだ。
確かに、搭乗してすぐに座席の汚れが目立てば、長時間のフライトを控えていた場合はなおさら、離陸前からうんざりしてしまうことだろう。機内全体が清潔だと、やはり気持ちがいいものだ。
ちなみに、サイト『Reader’s Digest』では、乗客が座席やテーブル、カーペット、トイレ、キャビンパネルから判断し、「最も清潔と感じた航空会社」トップ20が掲載されているが、ここではトップ10まで紹介しよう。
1.エバー航空
2.日本航空
3.全日空航空
4.シンガポール航空
5.アシアナ航空
6.海南航空
7.スイス国際航空
8.キャセイパシフィック航空
9.カタール航空
10.ルフトハンザ航空
では、話を戻して座席に青がいい理由を2つ、続けて挙げてみよう。
青色には心を落ち着かせる効果がある
青色は、平和や幸福感と結び付けられることが多い。飛行機は、車や電車など地上の交通手段と比較しても最も事故率が少なく安全であることが統計学的にも証明されているが、やはり空の旅に不安やストレスを感じる乗客も少なくない。
そうしたフライトへの不安が一般的であることを考慮すると、心を落ち着かせる色を座席に広く使用することは理にかなっていると言えよう。
また、特にアメリカの航空会社では、赤色と並んで青色をアメリカ代表の色としてロゴに選択しており、青は一種のブランドカラーにもなっているようだ。
青色は人の知覚に影響を与える
最後に、青色は湿度や温度、香りといった人間の知覚に影響を与える可能性があると言われる。そのため、青い座席は空気循環が悪い機内に閉じ込められている乗客を、少しでも涼しく感じさせる効果があるという。
どちらにしても、機内は暑すぎたり寒すぎたりとなかなか「快適」に過ごすことが困難だが、心を穏やかにさせるという相乗効果も含めて、青の座席が最も効率的となるのだろう。