韓国・ソウルの日本大使館前には「慰安婦」を象徴する女性像が置かれている
日本の映画祭で、戦時中の性的強制労働者(慰安婦)をテーマにしたドキュメンタリー映画の上映中止がいったん決まった後、これに反発する声が高まり、上映されることになった。
川崎市で開催中の「KAWASAKIしんゆり映画祭」の主催者は上映の決定について、安全面での問題が解決されたと説明した。
これにより、映画「主戦場」は最終日の4日に上映されることになった。
議論呼ぶ慰安婦問題
「慰安婦」と呼ばれた何万人かの女性たちは戦時中、アジア各地から性行為をする施設に送られ、日本軍の性奴隷として働かされた。
日本のナショナリストたちは、女性たちは性労働を強制されていなかったと主張している。
「慰安婦」問題をめぐっては、これを取り上げた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展が放火予告の脅迫を受け、2カ月間中止に追い込まれた。
方針変更の背景は
上映中止を撤回したことについて、主催者の1人はAFP通信の取材に、「安全面への懸念に対し、多くの人が応援を申し出てくれた」ことを理由に挙げた。
映画祭に関わった映画関係者たちからは、上映中止の方針を批判する声が出ていた。映画監督の1人は抗議のため、自らの作品を映画祭から引き上げると発表していた。
一方、映画に登場する人の一部は、損害賠償と上映中止を求める訴訟を東京地裁に起こしている。
朝日新聞によると、原告たちはドキュメンタリーの撮影には同意したが、商業映画ではなく学術研究のためだと思っていたと主張している。
慰安婦とは
歴史研究者たちは、推定20万人の女性たちが、日本軍兵士のために性的労働を強いられたとしている。
多くは朝鮮半島の出身で、中国やフィリピン、インドネシア、台湾の出身者もいた。
日本の国家主義者からは、女性たちを無理やり集めるよう日本軍が指示していたことを示す証拠文書はないとして、こうした主張を否定する意見が出ている。