しばれる」もはや共通語? 北海道・東北弁と思いきや...全国の9割が「意味わかる」
北海道・東北地方の方言とされる「しばれる」。
方言といえば、他の地域の人間には意味が全く分からない場合も多々あるが、兵庫県出身の筆者でも「しばれる」が「厳しく冷えこむ」ことを意味することを知っている。なんなら、寒い日にはこの言葉が頭の中に思い浮かぶくらいだ。
実際のところ、「しばれる」はどこで、どれくらい使われているのか。
Jタウンネットでは2019年1月25日~12月9日にかけて、「『しばれる』という言葉、知ってますか?」というテーマでアンケート調査を実施した。
投票総数は1892票。はたして、その結果は――。
意味が分かる人が大多数
全国の結果を見ると、「聞いたことも使ったこともある」と回答したのが43%(814票)、「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」が44.5%(841票)だった。
「聞いたことはあるが、意味は知らなかった」は1.9%(36票)、「全く知らなかった」は10.6%(201票)。
「しばれる」という言葉の意味を知っていた読者は、全体の87.5%にものぼり、言葉の認知度は非常に高いようだ。
では、地域ごとに認知度の偏りはあるのだろうか。
都道府県ごとに意味を知っている人の割合を出し、色分けした地図がこちらだ。
「しばれる」の意味を知っている人の割合は全体的に高く、ほとんどの地域で70%以上だった。意味が分かる人が60%台以下だったのは兵庫(60%)、宮崎(60%)、三重(40%)、愛媛(40%)、鹿児島(0%)の5地域のみだ。
特に東日本での認知度が高く、ほとんどの地域で90%以上が「しばれる」を理解していた。
このうち、「使ったこともある」人の割合が圧倒的に高いのが「ご当地」である北海道と東北地方。特に、北海道(65票、89%)、青森(13票、100%)、秋田(5票、100%)の3地域では回答者の多くは「しばれる」を使っていた。
北海道と東北6県の合計を見てみると、「聞いたことも使ったこともある」が76.4%(104票)、「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」が22%(30票)、「聞いたことはあるが、意味は知らなかった」は居らず、「全く知らなかった」は1%(2票)となった。
後述する他の地方と比較すると、圧倒的に「使ったこともある」人の割合が高く、意味を知らない人もほとんど居ないのが特徴だ。
北海道・東北以外の地域では?
全体の約65%(1231票)の投票が東京から集まったので、東京の結果も見てみよう。
最も多かったのが「聞いたことも使ったこともある」(46.1%、567票)で、「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」(40%、492票)、「全く知らなかった」(12%、148票)、「聞いたことはあるが、意味は知らなかった」(1.9%、24票)と続く。
関東地方全体では、「聞いたことも使ったこともある」が45.8%(623票)、「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」が41.1%(560票)、「聞いたことはあるが、意味は知らなかった」はが1.9%(26票)、「全く知らなかった」は1.1%(15票)となり、北海道・東北に次いで「使ったこともある」人が多いことがわかった。
中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄では、いずれの地方でも「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」層が半数を上回った。また、「使ったこともある」人もそれぞれの地方に一定数存在していて、やはり「しばれる」の意味を知らない人は全国的にも少数派なようだ。
西木正明さん(秋田県出身)の小説「凍(しば)れる瞳」(第99回直木賞受賞作)や、松山千春さん(北海道出身)の楽曲「寒い夜」など、北海道・東北地方出身の作家・アーティストが作品で「しばれる」を使ったり、北海道出身のタレントが発言したりすることで、多くの人が知るようになったのだろうか。
2018年のアニメーション映画「グリンチ」の日本語吹き替え版では、主人公・グリンチ(声は大泉洋さん)が「今日はしばれるねえ」と発するシーンもあった。
ちなみに、スマートフォンやコンピューターで「しばれる」と打ち込むと「凍れる」と変換できる。
もはや「しばれる」は方言の域を越えてしまっているのかもしれない。