2019年12月22日日曜日

ウイルス感染

すでにウイルスに感染していると別のウイルスに感染しにくくなることが研究によって確認される





インフルエンザが流行していると一般的な風邪などの発生率が低下することは以前から知られてきました。その傾向を裏付ける証拠として、イギリスのグラスゴー大学ウイルス研究センターの研究チームが「すでにウイルスに感染している場合は、他のウイルスに感染しづらくなる」という大規模調査の結果を報告しています。

研究チームは急性呼吸器疾患の患者3万6157人に対し、11種類のウイルス検査を行いました。その結果、被験者の35%がウイルスに対して陽性で、さらにそのうち8%が「複数のウイルスに陽性」ということが判明しました。


研究チームが特筆しているのが、A型インフルエンザウイルスと風邪の代表的な原因の1つとして知られているライノウイルスの相関関係です。調査によると、A型インフルエンザに感染している人が別のウイルスにも感染する場合、ライノウイルスに感染する確率は他のウイルスに感染する確率よりも約70%も低いと判明しました。

調査結果について、論文の筆頭著者であるSema Nickbakhsh氏は、「ライオンとブチハイエナがエサを奪い合うように、ウイルス同士が喉にある『ウイルスが増殖するための栄養』を奪い合うことが原因だと考えています。しかし、あるウイルスが引き起こす免疫応答が他のウイルスにも影響を与えてるといった、さまざまな可能性を視野に入れて調査を進めています」と述べました。


また、コンピューターモデルによる解析の結果、「A型インフルエンザウイルスとライノウイルスによる相関関係は、各個人の体内だけではなく、集団感染などの病気の流行などにも影響を及ぼすことがわかった」と研究チームは指摘。本研究を主導したPablo R. Murcia博士は、「ウイルスに関する研究は、伝統的に『ウイルス単体の研究』しかありませんでした。ウイルス間の相関関係の研究を進めることで、複数のウイルスの流行が循環する現象や、複数の年代層にまたがってウイルスの流行が生じる現象、さらには特定のウイルスによる感染が、『鼻には感染するが肺には感染しない』『肺には感染するが鼻には感染しない』など複数のケースが見られる現象の原因を解明してくれる可能性があります」と説明しました。

加えて、ごく一部の不運な人を除けば、あるウイルスに感染しているならば別のウイルスには感染しにくいという結果から、「呼吸器疾患を発生させるウイルスに複数同時に感染するリスクの平均」を調べられる点も本研究における重要なポイントだとMurcia博士は述べています。

なお、この調査手法の問題点として、わかるのは「ウイルス間の相関関係」までで、「ウイルス間の相関関係を生み出している原因」まではわからないということと、すでに呼吸器疾患を発症している患者を対象としているため、「呼吸器疾患を発症していない患者」のウイルスの挙動は把握できないことが挙げられています。

2019年12月21日土曜日

日大アメフト部危険タックル問題

日大アメフト部危険タックル問題はなぜ穏便に解決したのか 危機管理学部のあやしげな面々


12月6日に日本大学は、2018年5月6日に行われた日大フェニックスと関西学院大学ファイターズ定期戦において、日大のディフェンスラインM選手が、関学のクォーターバック(QB)のO選手に対して後方からタックルして3週間の怪我を負わせた件により、懲戒解雇されたことを不服として大学を提訴していた内田正人前監督と和解したと発表した。内田前監督は、11月15日に東京地検立川支部において、I元コーチと共にM選手への指示が認められなかったとして不起訴処分になっている。
司法は、コーチや監督の指示をはき違えたM選手が、勝手に悪質タックルを行い、相手選手に怪我をさせた、と判断したわけだ。
あるアメフトファンのメディア関係者は、次のように語っている。
「M選手は日本記者クラブでの謝罪記者会見で、正直にありのままを語ったと思います。スポーツマンらしい潔い態度に多く視聴者が感銘を受けた。内田前監督が反則行為を容認するかのような発言をし、日大関係者の大人たちが責任回避をしようとした中、M選手の率直な謝罪は、現代日本の若者も捨てたものじゃない、と思わせた。ところが、司法はM選手を監督やコーチの指示を勘違いして暴走したアホの子にしてしまった。酷い話です」
昨年5月22日の記者会見におけるM選手の説明を見てみよう。

一人の選手を追い込む

5月3日、実戦形式の練習から外され、監督・コーチから「やる気がない、闘志が足りない」と言われる。監督から、Mは「やる気があるのか、ないのか分からない。そういう奴は辞めていい」、コーチからも「お前が変わらない限り練習にも試合にも出さない」と言われる。
5月4日、監督に6月に中国で開催される第三回大学世界選手権に日本代表を「辞退しろ」と言われた。1年生の前でハンドダミーを持って手本を見せたら、コ―チに「なぜお前が最初にダミーを持つんだ」と言われ、グランド10周を走らされ、練習からも外された。
5月5日、この日も練習から外された。練習後にコーチから「監督にどうしたらお前を試合に出せるか聞いたら“相手のQBを1プレイに目に潰したら出してやる”と言っている」と告げられ、「“QBを潰しに行くので、僕を使ってください”と監督に言いに行け」と言われた。さらに「相手のQBと知り合いなのか? 関学との定期戦がなくなってもいいだろう。相手のQBが怪我をして秋の試合に出れなくなったら、こっちの得だろう。これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念を押され、「髪型を坊主にしてこい」と指示された。先輩からも「コーチから“Mにアライン(ポジション)はどこでもいいから、1プレイ目からQBを潰せ”と言っておけ」と言われた旨、告げられた。
M選手が危険タックルをするに至った説明を聞くと、監督とコーチが関学のエースQBに怪我をさせることを目的にしていたように思われる。アメフトやラグビーで、QBがゲームの司令塔であるのは分かるにしろ、反則覚悟でここまで執拗に狙うのは、不可解としか言いようがない。

怪しい面々

ある関係者は言う。
「関学のエースQBが狙われたのは、彼の父親が、当時おおさか維新の会に所属する地方議員だったからではないか、と囁かれています」
2015年4月15日、第189回国会・文教科学委員会で牧義夫衆議院議員が、JOC副会長だった田中英壽日大理事長と暴力団との関係を、当時の下村博文文科大臣に質問しており、下村大臣は調査することを明言している。
2017年6月のJOC役員会で、田中日大理事長は、JOC副会長を辞任している。当初は辞めることを渋った田中氏も、他の高齢の役員も辞めるのだから、と説得され、渋々辞任に同意したという。
牧議員は“維新の党”。関学のQBの父親は“おおさか維新の会”。もちろんおおさか維新の会と維新の党は、政治的には同一ではないが、そのあたりの区別が、大学役員でありながら、「切れる」だの「暴れる」だの、という言葉を使っていた脳筋監督にあったのだろうか?
内田前監督やゲイビデオ出演の過去まで発覚したIコーチも、不起訴となり,晴れて青天白日の身になったワケだが、日大三軒茶屋校舎にある危機管理学部の20人の教授のうち、9人が、
『法務省、検事、警察庁、公安調査庁、自衛隊、警察OB』
であり、日大の汚職疑惑を報道した読売新聞のOBもいることを指摘しておきたい。

日大の危機管理は、一見成功したかのように見える。だが、本当の危機はまだこれからかも知れない。
なぜなら、JOCの役員の中には、田中理事長以外にも暴力団の密接交際者がいると言われているからだ。来年のオリンピック時期に海外メディアが、いっせいに報道するのではないか。
田中理事長と暴力団幹部との写真も、今度はマイナーなネットのニュースサイトではなく、ニューヨーク・タイムズやCNNやBBCのような一流メディアで大きく報道されるかも知れない。

大量解雇時代の始まりか

大量解雇時代の始まりか 社員が個人事業主化する時代に必要な能力


前回は、株式会社タニタが発表した社員の個人事業主化についての疑問点について例証した。
 タニタ側がめざしているのは、コスト意識を持ち、自律して働く労働者の育成だろう。これについてはよく分かる。経営意識を持ち、会社を牽引していく意識を持った人物がいなければ、会社は現在以上に成長しないからだ。
 約半世紀前の高度経済成長期時代に「モーレツ社員」という言葉があった。当時も労働基準法の規制は行われていたし、労働組合活動も盛んだったが、深夜残業や徹夜を当たり前にこなす社員は大勢いた。もちろん違法な労働環境で働かされていたわけだが、それらの労働者によって企業が成長し、ひいては日本全体の経済状態が良くなったのも事実である。
 ところが、今は労働基準法の運用が、昔よりは厳密に行われるようになった。そのため、経営マインドをもった社員であっても、企業を成長させるのに必要な働き方ができなくなり、大多数の企業が牽引力を持った労働者を育成できなくなっている。
だからといって、社員の個人事業主化は、本当に会社にとってメリットがあるものなのだろうか。

社員よりコストがかかる可能性がありうる

 社員を個人自営業者にすれば、会社側にとっては悩ましい人件費の問題が解決するように見える。定額の給与を払わなくてよくなる上に、社会保険などの負担もなくなるからだ。
 しかしながら、自ら進んで安定した社員の地位を捨てて個人自営業者になる社員は、総じてお金を稼ぐモチベーションが高く、仕事の能力も優秀なはず。当然、自分で次々に営業して、より報酬が高い仕事を受注するようになるだろう。そうなると、社員時代に払っていた報酬では働いてくれなくなる可能性が高くなり、報酬条件交渉が決裂したら悲惨。せっかくの優秀な人材なのに、もう自社の仕事をしてもらえなくなるかもしれない。
 それだけではない。その個人事業主が自社の技術や経営の核心の情報を持っているとしたら、流出する企業資産は計り知れない。そういった事態を避けるために、社員時代よりも高い報酬を支払うことが必要になるだろう。
 また、前回例証したように、社員の個人業主制度化を認めても、労働基準法の規制こそ外れるものの、他の法令に抵触する可能性が出てくる。公正取引委員会が下請法に関する違法性があると判断すると調査が入り、違反が認められると企業の実名が公正取引員会のホームページ上で公表されるというペナルティが課せられてしまう。
 タニタは非上場だが、もし上場企業ならばさらに大変な事態になりかねない。株価が暴落したり、株主総会で経営陣の責任が追及されるなどといった事態に至る可能性もある。
 このことから、タニタ側が公表している経営者マインドを持った労働者育成のための社員の個人事業主化制度は、会社側にとってメリットとはいえず、諸刃の剣であることがわかる。

個人事業主化は労働者の大量解雇のために悪用される? 

 タニタは、経営マインドをもった労働者獲得のためという大義名分の下、社員の個人事業主化を実行している。だが、今後この流れに追随する他の企業は、整理解雇の口実として社員の個人事業主化を導入することが心配される。
 近年になって、大企業が数千人以上の単位で、希望退職者を募るケースが増えている。どの企業も、人件費がもっとも高く、もっとも人数が多い40代後半から50代前半の人を大量に抱えているからだ。
 
 非正規労働者の賃金引き上げが政府から指示された結果、大多数の企業は、正社員の給与を減らすことでバランスをとり始めている。正社員の給与削減の代替案として、みずほファイナンシャルグループをはじめとした大企業が社員の副業を認め、多くの企業がそれにならいはじめた。副業は大多数が個人事業主として始めることになるため、それを突破口に、大量整理解雇が行われる時代が来ることは想像に難くない。

大量企業倒産の時代の始まり 

 社員の大量整理解雇に伴って経営状態が悪化し、倒産する企業もいままでとは桁違いに増えるはずだ。
 就職氷河期世代と呼ばれた時期があった。大多数の企業が新卒の学生を採用しなかったが、その結果、採用を実施しなかった企業はどうなったか。中堅クラスの年齢の社員が不足し、どの企業も運営や次世代の事業継続が難しくなっている。そのため、中堅層の採用活動を必死になって行っているが、まったく人が集まらず、ますます悪化しているケースが顕著に見られるようになった。
 経営の神様といわれた松下幸之助氏は、戦後の大不況の時でも、安易な社員の解雇は行わなかったという。人件費のコストカットは企業の経営を楽にさせるように見えるが、売り上げ自体が伸びているわけではない。少ない人数で仕事を回さなければならないから、いつか限界がやってくる。就職氷河期世代の採用を行わなかった企業をはじめ、小手先の方法で問題を回避してきた企業は倒産の危機に瀕している。そういった時代に差し掛かっているのは間違いない。

大量倒産時代が来ても労働者が生き残る道はある

 しかし、私は悲観することはないと考えている。
 倒産する企業が増えるといっても、長期的な経営が困難だった企業が倒産するだけであり、残った企業は安定した経営基盤にあると見ることができるからだ。かたや倒産する企業が増える中で、どんどんシェアを伸ばして業界内で独走する企業も増えてくるだろう。当然、そういった企業はさらなる事業拡張のために、一定のスキルをもった労働者が必要になる。そういった企業に移って働けばいい。
 難しく考える必要はない。自分が現在までに培ってきた職業体験の中で、企業が金銭価値を感じてくれるスキルはなにかということを自問自答し、常に整理しておけば、仮に現在の勤務先が倒産したとしても採用してくれる企業に出会う可能性が高くなる。
 ハードルとなるものがあるとすれば、自分を売り込む営業力を培えるかどうか。大多数の人は、新卒の際に就職活動を実施した後、転職したとしても数回程度だろう。これからの時代は、欧米並に条件がよければすぐに他社へ異動するスキルと判断力が求められるようになるはずだ。人によっては、一年おきに転職活動をすることも珍しくなくなるだろう。
 これからの時代、巷に洪水のようにある求人情報から自分のスキルをもっとも高く売れる企業を選び出し、短期間で転職できる技術と行動力を持つことが重要だ。


https://wezz-y.com/archives/71139



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