2020年1月3日金曜日

ゴーン被告の逃亡

ゴーン被告の逃亡先のレバノン、インターポールの国際手配書を受領
Carlos Ghosn delivering a video statement with Japanese captions in April 2019

レバノン政府は2日、国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)から、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)に対する国際逮捕手配書に相当する「赤手配書」を受け取ったと明らかにした。
ICPOの「赤手配書」は、各国の警察機関に対し、身柄引き渡しや同様の法的措置を目的として被手配者の仮逮捕を要請するものだが、レバノンは日本と犯罪人引渡し条約を結んでいない。
ロイター通信によると、レバノンの国内治安部隊(ISF)が「赤手配書」を受け取ったが、まだ司法部には付託されていないという。
金融商品取引法違反などの罪で起訴され保釈中だったゴーン被告は、今年4月にも開かれる見通しの初公判を前に、昨年12月30日早朝にレバノン・ベイルートに到着した。
トルコで7人逮捕 レバノンで告訴
報道によると、ゴーン被告を乗せたプライベートジェットはトルコ・イスタンブールを経由したとされる。
トルコ・メディアによると、ゴーン被告が乗ったプライベートジェットは関西国際空港を出発し、昨年12月30日午前5時半頃、イスタンブールのアタテュルク国際空港に着陸した。
トルコ紙ヒュリエトはウェブサイトで、トルコ内務省職員の話として、同国の国境警察はゴーン被告がプライベートジェットに搭乗していることを知らされておらず、同被告の出入国記録もなかったと報じた。
一方で、2日のトルコ・メディアによると、ゴーン被告の逃亡に関与したとして、パイロット4人、貨物会社職員1人、空港職員2人が逮捕された。
ゴーン被告の逃亡に関してトルコ政府の公式コメントは出ていない。
さらに、レバノン国営通信社NNAによると、レバノンの弁護士2人が2日、ゴーン被告が2008年1月、同国と敵対関係にあるイスラエルに入国したとして刑事告訴したという。
レバノンはレバノン国籍者のイスラエル入国を禁止しており、弁護士は同被告がこれに違反したと主張しているという。判断は検察側に委ねられることになる。
Carlos Ghosn is escorted as he walks out of the Tokyo Detention House following his release on bail in Tokyo in April 2019

フランスは引き渡しに応じず

フランス、レバノン、ブラジルの国籍を持つゴーン被告は、レバノン国内で銀行や不動産へ莫大な投資をしてきた。
フランス政府は、仮にゴーン被告がフランスに入国した場合、身柄引き渡しには応じないとしている。
フランスのアニエス・パニエ=リュナシェ経済・財務相は、ゴーン被告は「日本の司法制度から逃亡すべきではなかった」と述べたものの、「フランス政府が同国民を引き渡すことは決してない」と付け加えた。
仏自動車大手ルノーの会長兼CEOだったゴーン被告をめぐっては、仏国内でも会社の資金を流用した疑惑で捜査が進められているが、これまでのところ起訴には至っていない。

「自分が単独で準備した」

ゴーン被告は昨年3月、保釈保証金10億円を納付し、逮捕から108目に一度保釈されたものの、昨年4月に新たに会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕され、再び勾留された。そして同月下旬、保釈保証金5億円を納付し保釈された。
昨年の大晦日に発表した声明でゴーン被告は、正義から逃げたのではなく「不公平と政治的迫害から逃げた」と説明した。
ゴーン被告は今月2日、妻キャロル氏(54)が逃亡計画に深く関わっていたとするメディアの憶測について、「不正確で虚偽」だとした上で、「自分が単独で日本出国の準備をした」と述べた。

2通目の旅券? 楽器ケース?

ゴーン被告はブラジル、フランス、レバノンの3カ国のパスポートを持つが、日本の弁護団は3通のパスポートを国内で預かったままだ。
しかし、日本の複数報道によると、同被告はフランスからビジネス用を含めてパスポートを2通発行されていた。日産の会長職を解かれた同被告に出入国管理法による国内滞在条件としてパスポートの携帯義務が生じたため、弁護団が保釈条件の変更を東京地裁に申請。東京地裁がこれを認めたため、被告は2通目のフランス旅券をダイヤル式鍵付きのケースに入れて携帯していた。ケースを開ける番号は弁護団が保管していたという。
ゴーン被告の出国記録が残っていないことから、日本の捜査当局は同被告が不正な手段で出国したとして、出入国管理法違反の疑いで捜査を進めている。
ロイター通信は2日、ゴーン被告に近い情報筋の話として、ゴーン被告は初公判が今年4月にずれ込んだことを知り、日本から逃れる決心をしたと報じた。この情報筋によれば、同被告は、レバノンに居る妻キャロル氏との連絡を妨げられていることに「苦しんで」いたという。
「トランプ氏から安倍氏に話してほしい」と語ったキャロル・ゴーン氏
レバノンのテレビ局MTVは、ゴーン被告は、楽団になりすました準軍事的組織の協力を得て、楽器ケースに隠れ、保釈時に認められていた都内の住居を後にしたと報じた。
しかしキャロル氏はロイター通信に対し、楽器ケースに隠れたという話は「フィクション」だと述べた。キャロル氏は、夫がどのように日本から逃れたのかについて詳細を明かすことは拒否した。
Carlos Ghosn leaves prison in disguise in March
日産自動車の再建に貢献し、かつて日本で英雄的な立場についたゴーン被告は、2018年11月、金銭をめぐる不正行為を行ったとして、金融商品取引法違反容疑で逮捕された。
2019年4月には、東京地検特捜部が、中東オマーンの知人側に日産の資金を不正流出させたとして、会社法違反(特別背任)容疑でゴーン被告を再逮捕した。
ゴーン被告は無罪を主張している。


運動が脳に与える影響

なぜ脳には運動が必要なのか?




運動を行うと記憶力が向上したり、アルツハイマー病などを改善する可能性があるとされています。運動と脳にはどのような関連性があるのか、人間の進化における運動の変化が脳にどのような影響を与えたのかを、南カリフォルニア大学で生物科学の教授を務めるデビッド・A・ライクレン氏がまとめています。

◆運動が脳に与える影響
何十年もの間、人間は成人になると、脳はニューロンを生成しなくなり、ニューロンを失い始めると考えられていました。しかし、ソーク研究所の研究者が1990年代に、「マウスが走ると、マウスの海馬に新しいニューロンが生成される」という研究結果を発表しました。それ以来、さまざまな研究で、年齢を重ねるほど運動は人間の脳にプラスの影響を及ぼすことや、運動がアルツハイマー病のような神経変性疾患のリスクを減らす可能性があることが示されてきました。

また、ソーク研究所での研究で、マウスの運動によるニューロン生成が脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるタンパク質の生成に結びついている可能性があることが発見されました。さらに、運動から誘発される神経発生が、マウスの記憶能力のパフォーマンス改善と関係することも実証されています。


イリノイ大学でカーク・エリクソン氏とアーサー・クレイマー氏が行った実験では、60歳から79歳の高齢者が有酸素運動をすることで、BDNFと海馬の領域の増加、記憶改善をもたらしたことが明らかになりました。2019年にイギリスで7000人以上の中高年を対象とした研究でも、中程度から激しい運動に時間を多く費やした人ほど海馬の体積が大きいことが示されています。

ライクレン氏によると、運動が脳に及ぼす効果が、神経形成や既存のニューロン間の結合の増加などとどのように関連しているかは具体的には明らかになっていないとのこと。しかし、これまでの研究の結果を総合すると、運動が脳の海馬と認知機能にとって有益であることは明らかであるとライクレン氏は述べています。運動による脳領域の増加は、計画、意思決定、マルチタスクを含む認知機能の強化に関連があるとされています。研究者らは、新しいニューロンの生成ではなく、既存のニューロン間の接続の増加が、運動が脳領域に及ぼす有益な効果の原因であると考えているそうです。


◆人類と脳の進化
人類は、約600万年から700万年前に、二足歩行に進化しました。二足歩行の姿勢を会得するため、脳が体の動かし方などの情報や、体全体の筋肉の活動を調整して姿勢のバランスを維持できるようにしたとされています。二足歩行への進化に伴う脳の進化によって、四足歩行だった祖先の脳よりも、脳の認知力がより高くなったと考えられています。

人類の祖先は植物を主に食べていましたが、約200万年前頃、寒冷な気候への変化で生息地が減り、人類は植物を食べるだけでなく、動物を狩って食べるようになりました。約1万年前に農業と牧畜が始まるまで、狩猟と採集は約200万年にわたって人間の自給自足を支えました。狩猟や採集を行う者は、自分がいる位置を把握し、周囲を探索する必要があります。このような空間認識は海馬に依存しています。さらに、視覚および聴覚を駆使して、食物を探す必要があります。さらに、以前どこを狩猟、または採集したのか、どの食物をいつどこで入手できたのかを記憶しなければなりません。


人類の脳は、短期記憶と長期記憶の両方を使用して決定を下し、狩猟や採集の探索ルートを計画するようになりました。これは、海馬と前頭前野などによってサポートされる認知タスクです。また、狩猟採集者は集団で採餌することが多かったので、記憶や空間認識だけでなく、人同士の会話も同時に行われていたかもしれません。こういったマルチタスクの処理は主に前頭前野によって制御されています。

加えて、狩猟の場合には、走りながら記憶・空間認識・会話を実行していたとも考えられています。有酸素運動中のマルチタスクはより難しくなり、高速な情報処理が必要になります。進化の観点からは、食料を見つける可能性を最大にし、採餌中および採餌後に発生する問題に対応できるよう、脳が進化したと考えられています。


◆脳を鍛えるための運動とは?
200万年前は、生きていくために有酸素運動を伴う狩猟や採集を行う必要がありました。しかし現代社会では、食料を見つけるために有酸素運動をする必要はありません。加齢によって起こる脳の衰退と、それに伴う認知機能低下が起こるのは、現代人が運動をしないという習慣に関係している可能性があるとライクレン氏は推測しています。

ライクレン氏によると「単に運動するだけでは、脳の衰退を抑える効果は十分に発揮されないかもしれない」とのこと。日頃から有酸素運動を行う人は、多くの場合、ジムに行き、エクササイズマシンを使用します。ジムにあるようなマシンは環境の変化に乏しいという側面があります。人類の祖先は予測不可能な世界で進化したため、祖先が直面してきたような、過酷な環境下で記憶や認識などを行う運動ができれば、運動によってアルツハイマー病などの神経変性疾患を改善させる可能性があるとライクレン氏は述べています。


ユニオン大学のケイ・アンダーソン・ハンリー氏は、アルツハイマー病のリスク増加に関連する症状である、軽度認知障害を持つ人々の脳の認知と運動による変化についての研究を行いました。ハンリー氏は、被験者にビデオゲームと運動を同時に行わせることで、運動だけを行うよりもBDNFが大幅に増加することを示しました。これらの発見は、人間の脳でBDNFが運動によって生成されるという考えをさらに強化するとライクレン氏は述べています。

ライクレン氏は「認知タスクと有酸素タスクの組み合わせを必要とするスポーツを行うことが、脳を活性化させる方法となる可能性があります」と語っており、環境変化のあるスポーツの例としてクロスカントリーを挙げています。また、アメリカ合衆国保健福祉省のガイドラインでは、中等度の強度で週に少なくとも150分間、または激しい強度で週に少なくとも75分間の有酸素運動を行うことを推奨しています。ライクレン氏は、ガイドラインに沿った運動を行うことでも、脳の健康を改善する可能性があると述べています。

その時代に生きた人々の息づかいが感じられる写真集に

1985年~1986年の大阪で撮影された1000枚超ものモノクロ写真が一挙公開、その時代に生きた人々の息づかいが感じられる写真集に 2020年2月8日、 kouichi morimoto さんが1985年から1986年ごろに大阪で撮影した1000枚もの写真を、写...