「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
今回は、冬が本番の便秘を卒業して、身軽に春を迎えるためのお話です。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#10】
1月からは便秘ハイシーズン
便秘がちな皆さんは、通年便秘に悩んでおられるかと思いますが、冬は特に悪化する人が多いのではないでしょうか。
特に1月から2月は冬本番で、便秘のハイシーズンです。
その上、お正月にお餅を食べ過ぎていると、お餅のネチネチは腸の中でもネチネチと壁にくっついて、腸の内容物を停滞させる原因にもなってしまいます。
寒いトイレで長時間こもるのは、暖かい季節より辛いものですし、是非とも今年こそ解消して頂きたいと思います。
冬の便秘悪化は「寒さ」と「冷え」が原因に
冬に便秘が悪化する大きな原因は、「寒さ」と「冷え」。
その為、冷え性体質を卒業することが便秘解消にとっても大切になります。
■寒さが腸の動きを低下させる
ここで関わるのが、「自律神経」です。
自律神経には、自律神経には、緊張や活動時に活発になる「交感神経」と、リラックスしているときに活発になる「副交感神経」があります。
寒さは、人にとって生命にとっての危機ですので、体を緊張させます。
そのため、自律神経のうち、交感神経を刺激して副交感神経を低下させます。
腸は、副交感神経によって動いているために、寒さの刺激で腸の運動が低下して便秘が悪化してしまうのです。
そのため、自律神経のうち、交感神経を刺激して副交感神経を低下させます。
腸は、副交感神経によって動いているために、寒さの刺激で腸の運動が低下して便秘が悪化してしまうのです。
■寒さは「ライオンの襲撃」と同じ
野生動物で考えると分かりやすいのですが、シマウマがライオンに襲われて逃げるとき。一気に覚醒し、全神経・全血流を筋肉に集中させて必死に逃げます。
これが、交感神経の働きです。
悠長に草を食んむ暇はないので、消化器である胃腸の動きは低下します。
ライオンがいなくなり、ようやく、ゆったりと食事に戻ることができます。ですから、胃腸は、副交感神経神経が優位でリラックスしているときによく動きます。
人にとって、「寒さ」は、ライオンのようなものですから、冬に寒さを感じることで、腸の動きは低下して、便秘が悪化してしまうのです。
いずれの冷え性タイプも便秘を悪化させる
さらに、お腹を冷やしてしまうと、内臓の動きはますます低下します。
内臓が活発に動く適温は、37度程度ですが、お腹が冷えることで腸の動きが鈍ってしまいます。
内臓が活発に動く適温は、37度程度ですが、お腹が冷えることで腸の動きが鈍ってしまいます。
体温が低く、お腹が冷たい「内臓型冷え性タイプ」は、そもそも内臓自体の働きが低下して腸の動きが悪いのはもちろんのこと。手足が冷える「末端型冷え性タイプ」でも、冬の寒い時期に末端から体に戻る血液が冷えていると、内臓まで冷やす原因になります。
基礎代謝の4割は内臓の動きで決まる
「痩せ体質」のためにも、便秘の解消は重要です。
ダイエットをする時に、まずは運動!と考えがちですが、運動で消費されるエネルギーは、実はたった2割程度。
7割は、何もしなくても消費される基礎代謝です。
その基礎代謝の一番大きな要素は、内臓の消費するエネルギー。その中でも、腸のぜん動運動と呼ばれる動きこそが、最大のエネルギーを消費してくれるのです。
ですから、冬に腸の運動が低下して便秘が悪化しているということは、基礎代謝が低下して太りやすくなっていると考えられるので、是非とも解消したいところです。
腸を叩き起こす3つの方法
腸の冷えを解消し、腸の運動を復活させる簡単な方法は、
- リラックスする夜入浴タイムを作る
- 腸マッサージをする
- 末端とお腹を温める
■夜の入浴タイムでゆるゆる
寒さで緊張した交感神経を鎮めるには、「努めて」リラックスすることが重要です。
日中は、活動タイムですので、交感神経が活発になっていた方が良い時間帯ですので、特に夜にリラックスすること。
温かいお風呂にゆったりと浸かりお腹までしっかり温めると、副交感神経が活発になり、日々のストレス解消や睡眠の改善にもつながります。
日中は、活動タイムですので、交感神経が活発になっていた方が良い時間帯ですので、特に夜にリラックスすること。
温かいお風呂にゆったりと浸かりお腹までしっかり温めると、副交感神経が活発になり、日々のストレス解消や睡眠の改善にもつながります。
「あつつ!」と感じるほど高温のお風呂は、逆に交感神経を刺激するので注意して下さい。
■腸のぐるぐるマッサージ
腸の運動を促す副交感神経は、直接マッサージすることで活性化することができます。
- おへそを中心に、半径5cm程度の円をイメージして
- 時計回りに、軽くお腹に違和感を感じる程度に両手の指のヒラで優しく圧迫する
これを10回1セットとして、1日1〜3回程度気がついたらやってみましょう。
特に、お風呂で温めながらぐるぐるすれば、一石二鳥です。
特に、お風呂で温めながらぐるぐるすれば、一石二鳥です。
■温めファッションは便秘に効く
特に冷え性の女性は、冬は温めファッションを意識していると思いますが、便秘解消の観点でも効果的です。
レッグウォーマーや腹巻きなどを活用して、末端もお腹も冷やさないようにして下さい。
お腹にカイロも、基本ながら、効果的な方法です。
レッグウォーマーや腹巻きなどを活用して、末端もお腹も冷やさないようにして下さい。
お腹にカイロも、基本ながら、効果的な方法です。
冬に便秘を卒業することで、春からの薄着シーズンも身軽に迎えられると思います。
是非とも、今月からお試しくださいね。
是非とも、今月からお試しくださいね。
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。