肉を食べることと健康にまつわる5つの神話と事実
肉ばかりの食事が不健康であることはよく知られていますが、「実際のところ、肉を食べるということはどの程度不健康なのか?」という問題は、研究者の間でも議論が絶えません。「肉を食べることに関するウソと事実」をアメリカのタフツ大学で栄養科学・政策学部の学部長を務めるDariush Mozaffarian教授がまとめています。
◆ウソ1:赤身肉は健康に良い
心臓病やがんなどに関する長期的な観察研究や、血中コレステロール・グルコース・炎症などの健康阻害因子に関する対照実験によって「適量の範囲内で未加工の赤身肉を食べるならば健康に大きな害を与えない」ということが示されています。
赤身肉を食べてもがんリスクが増大することはないという研究結果
心臓病やがんなどに関する長期的な観察研究や、血中コレステロール・グルコース・炎症などの健康阻害因子に関する対照実験によって「適量の範囲内で未加工の赤身肉を食べるならば健康に大きな害を与えない」ということが示されています。
赤身肉を食べてもがんリスクが増大することはないという研究結果
しかし、Mozaffarian教授は「赤身肉が健康に良いということを示唆する研究は存在しません」と述べて、赤身肉に含まれるヘム鉄が2型糖尿病のリスクを高める可能性があるという研究結果や、赤身肉を頻繁に食べることが結腸直腸ガンのリスク増大に強い関連性を持つという研究結果の存在を指摘しました。
◆ウソ2:赤身肉を優先的に食べるべき
赤身肉は脂質・飽和脂肪・コレステロールの含有量が低く、かねてから「肉を食べるなら赤身肉」という食事指導が行われてきました。しかし、脂質・飽和脂肪・コレステロールは、心臓発作やがんなどの病気と強い関連性を持たないことがわかっています。
一方で、ベーコンやソーセージ、サラミなどの加工肉に含まれる防腐剤が血圧や脳卒中、そしてがんのリスクを高めるため、「たとえ赤身肉だろうと、加工肉を食べるということはリスクが高い」とMozaffarian教授は述べています。
◆ウソ3:「植物ベース」の食事をすべき
動物由来の食品を食べないヴィーガンなどに代表される菜食主義(ベジタリアニズム)は、近年「健康の代名詞」のようにもてはやされています。しかし、Mozaffarian教授は、「鶏肉や卵は健康にそれほど悪影響を与えません。乳製品は体脂肪と2型糖尿病を減らす上で利点がある可能性がありますし、魚介類は健康上のメリットさえあります」と述べて、動物性食品の持つ利点に目を向けるよう促しました。
◆ウソ2:赤身肉を優先的に食べるべき
赤身肉は脂質・飽和脂肪・コレステロールの含有量が低く、かねてから「肉を食べるなら赤身肉」という食事指導が行われてきました。しかし、脂質・飽和脂肪・コレステロールは、心臓発作やがんなどの病気と強い関連性を持たないことがわかっています。
一方で、ベーコンやソーセージ、サラミなどの加工肉に含まれる防腐剤が血圧や脳卒中、そしてがんのリスクを高めるため、「たとえ赤身肉だろうと、加工肉を食べるということはリスクが高い」とMozaffarian教授は述べています。
◆ウソ3:「植物ベース」の食事をすべき
動物由来の食品を食べないヴィーガンなどに代表される菜食主義(ベジタリアニズム)は、近年「健康の代名詞」のようにもてはやされています。しかし、Mozaffarian教授は、「鶏肉や卵は健康にそれほど悪影響を与えません。乳製品は体脂肪と2型糖尿病を減らす上で利点がある可能性がありますし、魚介類は健康上のメリットさえあります」と述べて、動物性食品の持つ利点に目を向けるよう促しました。
さらに続けて、Mozaffarian教授は「『最悪の食品』の多くは食物由来です」と述べて、最悪の食品として白米・白パン・フライドポテト・朝食用シリアル・クッキーなどを挙げました。これらの食品は、精製デンプンと砂糖を多量に含んでおり、アメリカで消費される食べ物の総カロリーのうち、42%を占めているとのことです。
◆ウソ4:牧草で育てた牛肉(グラスフェッドビーフ)は健康に良い
Mozaffarian教授によると、「グラスフェッド」は牧草中心で育てられた家畜を指す単語で、牧草だけを食べているわけではありません。「グラスフェッド」として表記された牛は、牧草に加えてトウモロコシ・大豆・大麦・穀物なども食べて育っており、グラスフェッドな肉とそうではない肉は、栄養的に大きな差は存在しないという研究結果が報告されています。
Mozaffarian教授は、「哲学・環境などの理由からグラスフェッドビーフを選択することは構いませんが、健康上の利点を期待するとしたら間違いです」とコメントしています。
◆ウソ5:植物由来の人工肉は普通の肉よりも健康的
近年では、植物由来の成分を加工して「肉の味わい」を再現した「人工肉」が登場しています。しかし、「人工肉が健康に与える影響は不確かなまま」というのがMozaffarian教授の指摘です。アメリカで販売されている植物由来の人工肉Impossible Meatを例に取ると、ヘム鉄や多量の塩、遺伝子組み換え酵母などが使用されており、そのカロリーは低いとはいえません。
「植物由来の人工肉は健康に悪い」と指摘される理由とは?
◆ウソ4:牧草で育てた牛肉(グラスフェッドビーフ)は健康に良い
Mozaffarian教授によると、「グラスフェッド」は牧草中心で育てられた家畜を指す単語で、牧草だけを食べているわけではありません。「グラスフェッド」として表記された牛は、牧草に加えてトウモロコシ・大豆・大麦・穀物なども食べて育っており、グラスフェッドな肉とそうではない肉は、栄養的に大きな差は存在しないという研究結果が報告されています。
Mozaffarian教授は、「哲学・環境などの理由からグラスフェッドビーフを選択することは構いませんが、健康上の利点を期待するとしたら間違いです」とコメントしています。
◆ウソ5:植物由来の人工肉は普通の肉よりも健康的
近年では、植物由来の成分を加工して「肉の味わい」を再現した「人工肉」が登場しています。しかし、「人工肉が健康に与える影響は不確かなまま」というのがMozaffarian教授の指摘です。アメリカで販売されている植物由来の人工肉Impossible Meatを例に取ると、ヘム鉄や多量の塩、遺伝子組み換え酵母などが使用されており、そのカロリーは低いとはいえません。
「植物由来の人工肉は健康に悪い」と指摘される理由とは?
◆事実1:加工肉は健康に悪い
加工肉は健康に有害な防腐剤を含んでいます。防腐剤として代表的な硝酸塩や亜硝酸塩が「不使用」だと成分表記されている場合でも、実際には亜硝酸塩を豊富に含む発酵セロリの粉末を含んでいる場合があり、アメリカ食品医薬品局(FDA)には「誤解を招く表示の禁止」を求める請願書が提出されています。
加工肉にはナトリウムや亜硝酸塩、ヘム鉄などの他にも、焼かれたり燻製にされたりしたときに生じる発がん性物質が含まれる場合があります。これらの有害な化合物は、自分自身の健康だけではなく、妊婦が摂取した場合には、胎児にまで影響を及ぼします。
◆事実2:「肉を一切食べない」というだけでは健康的は食事とはいえない
食事に関連した疾患のほとんどが、果物・ナッツ・種子類・豆類・野菜・全粒穀物・植物油・魚介類・ヨーグルトなどの健康的な食品の摂取量が少ないことと、塩分・精製デンプン・砂糖などを多く含んだ「超加工食品」やジュースを多量に摂取していることに起因しているという研究結果が存在します。こういった食生活は、赤身肉を食べることよりも健康に悪い影響を与えます。
「超加工食品」を食べることが死亡リスク増加に結びつくことが4万4000人以上を調査した研究で明らかに
加工肉は健康に有害な防腐剤を含んでいます。防腐剤として代表的な硝酸塩や亜硝酸塩が「不使用」だと成分表記されている場合でも、実際には亜硝酸塩を豊富に含む発酵セロリの粉末を含んでいる場合があり、アメリカ食品医薬品局(FDA)には「誤解を招く表示の禁止」を求める請願書が提出されています。
加工肉にはナトリウムや亜硝酸塩、ヘム鉄などの他にも、焼かれたり燻製にされたりしたときに生じる発がん性物質が含まれる場合があります。これらの有害な化合物は、自分自身の健康だけではなく、妊婦が摂取した場合には、胎児にまで影響を及ぼします。
◆事実2:「肉を一切食べない」というだけでは健康的は食事とはいえない
食事に関連した疾患のほとんどが、果物・ナッツ・種子類・豆類・野菜・全粒穀物・植物油・魚介類・ヨーグルトなどの健康的な食品の摂取量が少ないことと、塩分・精製デンプン・砂糖などを多く含んだ「超加工食品」やジュースを多量に摂取していることに起因しているという研究結果が存在します。こういった食生活は、赤身肉を食べることよりも健康に悪い影響を与えます。
「超加工食品」を食べることが死亡リスク増加に結びつくことが4万4000人以上を調査した研究で明らかに
◆事実3:牛の畜産は環境を破壊している
牛肉の生産は、牛のゲップによる温室効果ガスの排出や糞尿による水質汚染など、環境に対して多大な悪影響を及ぼします。牛肉の生産が環境に与える影響は、魚・乳製品・鶏肉が環境に与える影響の約5倍で、卵・ナッツ・マメ科に比べると約20倍、果物・野菜・全粒穀物に比べるとその影響は45倍から75倍とのこと。2013年に国連が発表した(PDFファイル)報告書によると、畜産により排出された温室効果ガスは、全体の15%を占めており、その半分は牛肉生産によるものです。
◆事実4:植物由来の人工肉は環境に優しい
牛肉生産と比較すると、植物由来の人工肉の生産に必要な水と土地はわずか10分の1で済む上に、排出する温室効果ガスも10分の1にまで削減されます。
地球温暖化を止めるには私たちが「肉や乳製品を食べなくなる」ことが不可欠
牛肉の生産は、牛のゲップによる温室効果ガスの排出や糞尿による水質汚染など、環境に対して多大な悪影響を及ぼします。牛肉の生産が環境に与える影響は、魚・乳製品・鶏肉が環境に与える影響の約5倍で、卵・ナッツ・マメ科に比べると約20倍、果物・野菜・全粒穀物に比べるとその影響は45倍から75倍とのこと。2013年に国連が発表した(PDFファイル)報告書によると、畜産により排出された温室効果ガスは、全体の15%を占めており、その半分は牛肉生産によるものです。
◆事実4:植物由来の人工肉は環境に優しい
牛肉生産と比較すると、植物由来の人工肉の生産に必要な水と土地はわずか10分の1で済む上に、排出する温室効果ガスも10分の1にまで削減されます。
地球温暖化を止めるには私たちが「肉や乳製品を食べなくなる」ことが不可欠
植物由来の人工肉事業を展開するImpossible MeatやBeyond Meatは、いずれも「温室効果ガスなどを発生する畜産業への依存を減らす」ということを自社の理念として掲げています。
事実5:多くの疑問が未解決
Mozaffarian教授は「どの防腐剤が一番有害なのか」「赤身肉の何が2型糖尿病のリスクを高めるのか」「植物由来の人工肉の影響」などの多くの疑問が未解決のままだということを認めています。その上で、すでに判明している研究結果から、「赤身肉を食べるのは、週に1回か2回が限度です」「植物ベースの人工肉は環境に良いのは明白ですが、健康に良いかは不明な点を残しています」と述べ、「果物・ナッツ・野菜・植物油・全粒穀物は人類にとっても地球にとってもベストです」と締めくくりました。
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