2020年1月6日月曜日

オーストラリアで続く山火事

数カ月にわたりオーストラリアで続く山火事の凄まじい被害の記録、なぜこれほどまでに壊滅的な被害をもたらしているのか?




オーストラリアでは2019年9月ごろから南東部を中心とした大規模な森林火災が続いており、2020年1月5日時点で犠牲者の数が23人に上っているほか、1500棟を超える住宅が全焼しています。山火事による被害がどのようなものなのか、一体なぜこれほどまでに山火事が深刻化しているのかについて、さまざまなメディアが報じています。

オーストラリアでは2019年9月以降、各地で高温と乾燥による森林火災が続いており、特に南東部のニューサウスウェールズ州ビクトリア州では深刻な被害が出ています。ニューサウスウェールズ州のシドニー南西部にあるバルモラルという人口400人ほどの集落では、12月下旬の火災によって集落一つがほぼ焼き尽くされる被害が出ているとのこと。

既に多くの人々が森林火災の影響で避難を余儀なくされており、大みそかである12月31日にも数千人もの人々が海辺に避難したことが報じられました。ニューサウスウェールズ州は1月2日に1週間の非常事態宣言を発令。これは一連の森林火災による3回目の非常事態宣言です。

オーストラリアの放送局であるSBS Newsは、オーストラリアを襲う森林火災について連日報道を続けています。


ニューサウスウェールズ州の南海岸地域にあるイーデンという町では、火災の影響で空気の色が赤っぽくなっている模様。住民は火災によって汚染された空気から身を守るため、マスクやゴーグルを付けています。


当局者は住民に対して避難を呼びかけており……


荷物を持った住民が避難を行っています。


シドニーに拠点を置くジャーナリストのマシュー・アボット氏は12月31日、Twitterで「2010年代最後の日は、まるで黙示録のように感じられました」というコメントと共に火災の写真を投稿。燃えさかる建物を背景にして影になったカンガルーが飛びはねる光景は、多くの人々に衝撃を与えました。
My last day of the decade felt like the apocalypse. Been covering the Australian bushfires for the last 6 weeks, but haven’t seen anything like yesterdays fire that decimated the town of Conjola, NSW. work for @nytimes
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また、Twitterには必死に消火活動を行う消防士たちの姿を捉えたムービーなども投稿されています。
シドニーとポートオーガスタを結ぶ主要な国道であるプリンセスハイウェイにも、火の手が迫っている模様。

アメリカ航空宇宙局(NASA)の人工衛星による地球観測システム(EOS)も、オーストラリア南西部の壊滅的な火災の影響を観測しました。NASAの衛星観測データによると、ニューサウスウェールズ州における森林火災は2019年12月12日までに2万7000平方キロメートルもの地域を襲っているとのこと。

2019年12月9日に撮影された以下の衛星写真を見ると、火災による煙が広範囲にわたって広がっていることがわかります。

森林火災はユーカリの森を焼き、コアラやカンガルーなどの動物や土壌の生態系を破壊するほか、シドニーを含む多くの都市に住む人々にも悪影響を及ぼします。衛星の観測データから、森林火災が起きている周辺地域では一酸化炭素や有毒ガスの濃度が上昇していることがわかっています。

オーストラリアにおいて森林火災の被害が拡大する主要な要因に挙げられているのが、オーストラリアを襲う熱波と干ばつです。オーストラリア気象局が発表したデータによると、2019年はオーストラリアの観測史上で最も暑く、最も乾燥した年だったとのことで、非常に火災が起きやすい気候だったといえます。

According to the Bureau of Meteorology (@BOM_au), 2019 was both the hottest and driest year ever measured in Australia.

Under these conditions, it is not at all surprising that extreme wildfires have been running out of control.
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また、「オーストラリアの大規模な森林火災により、独自の天候が作られている」という指摘もされています。激しい火災は高温の煙を生み出し、局所的な上昇気流を発生させますが、時には火災の煙が雲を作り出すケースもあるとのこと。火災の煙を熱源とする大気の対流によって作られる積雲のことを火災積雲と呼びますが、オーストラリアの森林火災では特に火災積雲が大きく成長し、火災積乱雲が発生しているとオーストラリア気象局が報告しました。

Pyro-cumulonimbus clouds have developed to altitudes over 16km in East this afternoon. These fire-induced storms can spread fires through lightning, lofting of embers and generation of severe wind outflows
731人がこの話題について話しています

オーストラリア気象局が、火災積乱雲の発生メカニズムおよび火災積乱雲がもたらす影響についてわかりやすく解説した図がこれ。森林火災によって成長した火災積乱雲は、雨を降らせて火災を消火することもありますが、強風で火災の範囲を広げたり、雷で新たに火災を起こすこともあるそうです。

森林火災の被害拡大を受けて、オーストラリアのスコット・モリソン首相は1月4日に記者会見を行いました。住民の救助や消火活動にあたる軍の船舶、ヘリコプターなどをさらに投入し、予備兵3000人を消火活動のために動員することを明らかにしました。

モリソン首相に対しては、「森林火災が深刻化している最中にもかかわらず、クリスマス休暇でハワイに行っていた」ことを非難する声がオーストラリア国内で高まっています。モリソン首相は、「このような時に私が家族と国を離れたことで、悲惨な山火事の被害を受けた多くのオーストラリア国民の気分を害したことを深く後悔しています」と謝罪し、予定を早めて12月22日に帰国しています。


アメリカ航空宇宙局(NASA)の人工衛星による地球観測システム(EOS)も、オーストラリア南西部の壊滅的な火災の影響を観測しました。NASAの衛星観測データによると、ニューサウスウェールズ州における森林火災は2019年12月12日までに2万7000平方キロメートルもの地域を襲っているとのこと。

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