2020年1月20日月曜日

アメリカではアルコール関連の死亡率が増加

アメリカではアルコール関連の死亡率が増加、特に女性が急増している

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アメリカ国立衛生研究所の機関である国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)が、米国の死亡証明書データを分析したところ、1999年から2017年の間にアルコールが原因で亡くなったアメリカ人は100万人近くになることがわかった。

 アルコール関連死は、1999年には3万5914人だったのが、2017年には7万2558人と2倍以上に増えており、2017年の全米の全死亡者数の2.6%を占めるという。

 特に女性は深刻で、調査期間中の死亡率が85%増加したことがわかった。これは過去数十年間の女性のアルコール消費量の増加と関連している。 

アメリカで増加するアルコール関連死


 アルコール関連死の増加は、アルコール消費量の増加やアルコール絡みの救急搬送・入院の件数が増加しているのと一致している。

 「アルコールは体にとって異物で、ときに命にかかわる原因になることも多いのです」NIAAAのドクター・ジョージ・F・コーブは言う。

「この調査結果は、アルコール絡みの怪我、過剰摂取、慢性疾患を含めたアルコール関連死が、広い範囲で増えていることを示していて、公衆衛生に影響を与えるアルコールの脅威が増していることの警鐘なのです」

 新たな研究では、NIAAAの上級科学アドバイザーのアーロン・ホワイトらが、1999年から2017年までの全米の死亡証明書データを分析した。

 アルコールが誘発あるいは根本的原因として明記されている場合は、アルコール関連死として特定される。2017年、アルコール関連死の半数近くが、肝臓疾患(31%、2万2245人)または、アルコールのみまたは他の薬物との併用過剰摂取(18%、1万2954人)によるものだった。

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あらゆる年齢層、人種で増加傾向


 アルコールによる死亡率がもっとも高いのは45~74歳の人たちだが、最近は25~34歳の若者も、死亡率の上げ幅が最大になった。

 中高年の高い死亡率は、「絶望による死」が増えているという最近の報告と一致している。「絶望による死」とは、おもに非ヒスパニック系白人のアルコール過剰摂取、飲酒が原因の肝硬変、自殺に関連する死として一般に定義される。しかし、最近のアルコール関連死はあらゆる年齢層、人種で増加傾向にあるという。

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特に女性に顕著


 だが、特に顕著なのが女性で、アルコール消費量の増加とそれに伴う救急搬送が増え、アルコール関連の死亡率は、男性(35%)なのに対し、女性(85%)のほうが増加した。

 かつてはアルコール摂取とその被害においては、男女で大きな差異があったのに、最近は縮まっている。

 一日たった1杯のアルコールを摂取するだけでも、女性が乳ガンになるリスクが高まる可能性を示す証拠が多く出てくるようになった。女性は男性よりも、アルコールが関わる心臓血管疾患、肝臓疾患、アルコール使用障害などの危険性が高いようだ。

「アルコールはとくに女性の健康被害を拡大させます」コーブは言う。「女性のアルコール関連死の急増は深刻で、この数十年間の間に女性のアルコール消費量が増加したことと比例しています」

アルコールが死亡の原因だったとしても、死亡証明書に明記されることはあまりなく、2017年の実際の死者は7万2558人よりもはるかに多い可能性があるという。

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「今度の研究結果とほかの研究からわかったことをまとめると、アルコールが関連する被害は、さまざまなレベルで増えているのに、死亡証明書にはアルコールの関与は記載されないことが多い。アルコールと死亡の関連をしっかりウォッチすることは、アルコールの人体への影響をより理解し、対処するために必要不可欠なことなのです」ジョージ・F・コーブはそう語った。

 この研究結果は、『Alcoholism: Clinical and Experimental Research』誌に掲載された。

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