中国内陸部の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が広がる中、数億人の国民が移動する旧正月(春節)の大型連休が24日、同国で始まった。当局は封じ込めを強化している。
新型ウイルスによる肺炎の死者は26人に増え、確認できた感染者は830人に上ったと、中国当局は同日発表した。
北京と香港では、大人数の群集の形成を避けるため、主な行事が中止されている。
武漢など湖北省の都市では、公共交通機関の運行が制限されるなど、より厳しい対策が取られている。
これまで死者はほぼ全員、湖北省で確認されている。同省以外で初めて死亡が確認されたのは、河北省の80歳の男性。
一方、中国以外の国で確認された感染者は12人と比較的少ない。このことが、世界保健機関(WHO)が23日、「国際的な非常事態」の宣言を見送った理由の一つとなった。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、「これから非常事態になるかもしれない」と述べた。
中国以外では23日、新たにヴェトナムとシンガポールで感染者が確認された。日本では2人目の感染者が見つかった。
アメリカは、確認されれば2人目の感染者となる可能性がある人について、検査を進めていると発表した。
紫禁城も閉鎖
旧正月に合わせ、中国では厳しい対策が取られている。
北京では、すべての大規模な祝賀行事が中止された。寺院での行事は禁止され、新作映画の公開が延期に。観光名所の紫禁城も閉鎖される。
香港でも、国際的な祝祭行事や、毎年恒例のサッカー大会がキャンセルされた。
中国当局は、湖北省を発着する航空機や鉄道を停止するなど、省内の約2000万人を実質的に隔離している。
WHOは、中国当局が武漢や少なくとも他の5都市で、大規模なウイルスの封じ込め策を実施していることを称えた。
マスクを義務化
市民の生活への影響もみられる。
湖北省の各都市では、カフェや映画館、展覧会場が閉鎖されている。在庫が減っている食料品店には長い行列ができ、所々で言い争いも起きている。
武漢では、公衆の場に出るときはマスク着用が義務付けられている。市民からは、街がゴーストタウンのようだとの声が出ている。
感染拡大を食い止める努力が続く中、北京で取材するBBCのスティーヴン・マクドネル中国特派員は、武漢からはすでに何十万人もの市民が市外に移動し、旧正月を祝っていると伝えている。
新型ウイルスの潜伏期間が5日前後とされることから、気づかないうちに伝染させた可能性もあるとしている。
マカオ当局は、住民がマスクを安価で入手できるよう2000万個を発注した。香港ではマスクの無料配布を求める声が高まっている。いずれの地域でも感染者が確認されている。
日本でも2人目を確認
中国国外でこれまでに感染者が確認されたのは、タイ(4人)、ヴェトナム、日本(各2人)、台湾、韓国、アメリカ、シンガポール(各1人)。
イギリスやカナダなどの国々でも、感染の疑いのある人の検査が進められている。
台湾は、武漢から来た人の受け入れを停止している。アメリカは、中国への旅行者に対し注意を呼びかけている。
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