2020年1月4日土曜日

子どもがいかにして『良くない友だち』と縁を切るか

自分の子どもに「良くない友だち」との縁を切らせる方法とは?




友人の存在は子どもに協力や自己主張の重要性を教えてくれるもので、社会性などを育む上で重要です。しかし、友人が巻き起こしたいじめや非行などに我が子が巻き込まれてしまうという懸念から、両親が子どもの「友人関係」についても目を配るべきだという意見もあります。そこで重要になってくるのが「子どもがいかにして『良くない友だち』と縁を切るか」で、その有効な方法をオーストラリアカトリック大学教育学部の研究者が説明しています。

◆5歳までの子ども
カトリック大学の幼児学科に勤めるローリーン・ビーン氏によると、保育所などに通う生後5歳までの子どもに「噛み傷」を発見した場合、子どもが他の子どもとの間にトラブルを抱えている可能性があることを理解すべきとのこと。これは、幼い子どもは自分の感情を説明できるほどのコミュニケーションスキルを持っていない場合があり、そういった子どもは他の子どもを噛んだり叩いたりして感情を表現することがあるというのが原因。ビーン氏は、子どもに噛み傷を発見した場合は、すぐに保育士に連絡して協力を仰ぐことを推奨しています。


◆小学生、中学生の子ども
友人は子どもの認知・社会性・感情の発達に影響を与えます。また、友だちがいない子どもは、困難などに負けないために重要になる「回復力」が低くなることが研究からわかっています。

友だちがいない子どもは幸福にとって重要な「回復力」が低くなる 


しかし、カトリック大学教育学部で講師を務めるナターシャ・ワードマン氏は、「信頼を裏切ったり、幸福にダメージを与えたりする友情もあります」と述べて、以下のような特徴を持つ子どもの友だちには注意すべきだと説明しました。

・ウソをつく子
・その日の気分に応じて親友をコロコロ変える子
・他の子どもの服や遊びの内容などをコントロールしようとする子
・仲間はずれや口撃、噂の流布、そして暴力によって自分の子どもをいじめる子
・反社会的ないしは危険な遊びに誘ってくる子


その他にも、子どもの全体的な幸福度や自尊心が低下しているように見えたり、子どもが攻撃的になったり引きこもる時間が増えたりしている場合は友人に原因がある可能性があるとのこと。

親が子どもの友人関係を把握していると、子どもが反社会的ないしは危険な遊びをする確率が減るという調査結果もあります。また、悪い友人との接触を、親が監督することで減らすことができるという研究結果も報告されています。

ワードマン氏は、自分の子どもに友人関係での問題を打ち明けてもらう方法も解説しています。その方法は、「私もあなたの年齢だったときに、同じような友人関係の問題を抱えたことがある」というような、共感を示す方法。もう1つが、「あの子と友だちを続けていたら、自分がどうなると思うの?どれほどあなた自身と周りの人たちを傷つけると思う?」「あなた自身を守るためにできることは?」という風に、対話によって、将来自分がどうなるかや、今できることに目を向けさせる方法です。

また、それでも問題が解決できない場合には、「問題の友人と会うことを禁じる」「引っ越す」など、両親が問題に直接的に介入することをワードマン氏は勧めています。


◆高校生の子ども
大人になる目前の時期である高校生の頃の友人関係は、子どもの将来に直接的な影響を及ぼします。研究によると、「愛している」「心配している」と子どもに伝えることは、子どもが反発したとしても、子どもの自尊心を高め、友人関係の問題に立ち向かう能力を高めることが示唆されています。

カトリック大学教育学部で講師を務めるマイケル・チェンバーズ氏は、「10代の間、子どもに最も影響力を持つのは親です」と指摘。チェンバース氏は、高校生の子どもの友だちがソーシャルメディア上でしている発言が問題だと感じているという例を挙げて、そういった場合に「あなただったら、こういうことを言うの?」「あなたが『こうなりたい』と思う人はこういうことを言う?」といった質問をするのは「過保護」だとコメント。「過保護にされると、子どもは困難な状況に対処する機会を奪われてしまう」と説明しました。


チェンバーズ氏は高校生の子どもに、意思決定と責任に対するある程度の自由を与えることを勧めて、「自分の子どもに良い影響を与えてくれる子との友情を奨励する、友情を発展する機会を作る」「さまざまなタイプの友人関係について、長所と短所について語り合う」「良い友人関係は人生に喜びや楽しみを与えるが、悪い友人関係は人生にストレスや破滅をもたらすというように、友情が生み出す結果について話す」というように子どもに接することを勧めました。冷静かつ誠実に対話することが良い結果を生むと、チェンバーズ氏は述べています。

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