2020年1月2日木曜日

「バックアップ」と「アーカイブ」の違い

「バックアップ」と「アーカイブ」の違いを意識しないと大きな問題につながるかもしれない




消えてしまうと困るデータは「バックアップ」を取っておくと、PCが故障した時でもデータが消えてしまうことはありません。また、バックアップと似た概念として、重要な記録を保存記録しておく「アーカイブ」という概念がありますが、両者は同じくデータを保存しておくという点は同じでも、明確な違いがあるとITコンサルタントのW. Curtis Preston氏は語っています。



バックアップとは、データが損失した場合に復元できるようデータのコピーを作成しておくことを意味し、元データは削除されることはありません。PCやスマートフォンが使用されていない夜間などに自動でデータをサーバーにコピーする機能がバックアップの例としてあげられます。

バックアップは「何かが起こったとき、データを元通りに戻せる」ことを目的としているかどうかによって定義されるとのこと。例えば、RAID6を組んでいるHDDが3本動かなくなってしまったり、Hyper-VAmazon EC2の設定が消えてしまったり、ランサムウェアによって全てのファイルが暗号化されてしまった場合には、バックアップからデータを復元して元通りにしたり、ランサムウェアの侵入元を突き止めたりすることができます。


データを元通りに戻すことが目的であるバックアップに対し、アーカイブは後に参照することを目的にデータのコピーを作成することを指し、元データが削除されることもしばしばあるとのこと。アーカイブの一番の目的は契約書や顧客の署名、取り壊された建物の設計書など、一連のデータの集合を検索しやすくすることだと述べられています。

アーカイブする対象のデータは他にもあります。例えば夜勤の許可をもらえていたと思っていた従業員が、実際に夜勤をしたところ解雇されてしまった場合、会社との訴訟で「夜勤」や「定時後」といった単語や夜勤をしていた会社の名前が含まれたメールのやりとりなどの電子データの提出を求められるかもしれません。こうした場合にアーカイブを残しておくと、データを容易に準備することができるとのこと。


元のデータを取り出す場合もバックアップとアーカイブではその呼び方が異なり、バックアップの場合はリストアと呼ばれ、アーカイブの場合はリトリーブと呼ばれます。リストアする場合、対象となるデータは一つのファイルやサーバー、データベースであることが多いですが、リトリーブは関連するデータの集合が対象となる場合が多いとのこと。リストアはある一時点の状態を再現しますが、リトリーブは過去三年間の電子メールなど、対象となるデータに時間的な幅があります。

多くの人々が以前のバックアップをアーカイブのようにずっと保存していたり、バックアップとして保存していたデータをリトリーブしよう四苦八苦しているとCurtis Preston氏は述べています。訴訟で提出を要求された電子データのリトリーブができず、提出が遅れてしまった場合は、証拠隠ぺいを疑われ不利な推定を下される可能性があり、実際にモルガン・スタンレーはそれが理由で数十億ドルを訴訟で失ったとのこと。


バックアップをアーカイブとして使用せず、アーカイブが必要な場合は実際のアーカイブシステムを調査しておくと、コストはかかりますが長期的には価値があるとCurtis Preston氏は語っています。

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