◆卓球 全日本選手権 最終日(19日・丸善インテックアリーナ大阪)
女子シングルスで早田ひな(19)=日本生命=が初優勝を飾った。準決勝で伊藤美誠(19)=スターツ=を4―3、決勝で石川佳純(26)=全農=に4―1に勝利し、東京五輪代表に2連勝。全日本女王の称号を手にすると、コートにしゃがみ込み、涙があふれ出た。
早田を指導する石田大輔コーチも試合後、感極まった。ワールドツアーなど国際大会を転戦し、1年のほとんどの時間を一緒に過ごしてきた。補食のためのおにぎりを握るなど、献身的なサポートを続けてきた石田コーチはベンチに戻ってきた早田に「よく頑張ったね。良かったね」と声をかけた。「普通の言葉ですけど、それ以上の言葉はないと思った」とねぎらった。
年明け、早田から「自分で限界を作らずにやってみたいです。思い切って頑張ってみたい」と決意を伝えられた。今月6日に東京五輪代表から落選後も2人で前を向くことを決め、努力を続けた。ある日、練習場から帰ろうとすると、電気がついたままだった。「ひょっとしたら、ひな練習してるかもな」。そっとのぞくと、夜遅くにサーブ練習に取り組む姿があった。
早田の魅力は「大砲」や「バズーカ」とも称されるパワフルな両ハンドだ。中国選手にも負けない武器を持つ一方で、勝ちたい気持ちが力みやミスにつながることも多かった。そのことがあと一歩、あと1点で勝ちきれない試合が続いた要因にもなった。
持ち味を大事にしつつ、練習から力のコントロールも意識した。今大会は難しいボールは少し力を抑えてつなぎ、チャンスを待って思い切り振り抜くことで、安定感が増した。「本当に苦しい時から頑張ったなって(代表を外れ)僕も1月はテレビも見られないぐらいしんどかったけど、(本人は)それ以上に苦しかったと思う。その中でも明るく楽しく練習を頑張っていた。今日もグッと自分で気持ちを抑えて、随所に練習してきたことが出ていた。『頑張ったな』って褒めてあげたい」。挫折を糧に成長した教え子の姿に目を細め、涙を拭った。
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