Twitterがついにアダルトコンテンツ規制か 無法地帯な現状とこれから
Twitterは、2020年1月1日より利用規約とプライバシーポリシーを一部変更する。これによってアダルトコンテンツ等の規制が強化され、投稿内容が厳しく取り締まられる可能性があると見られている。
12月11日にはYouTubeもハラスメントに対するポリシーの強化を発表しており、SNSのプラットフォームは規制を強化する流れにある。
Twitterに成人向けの画像や動画が投稿できなくなる可能性
Twitterが2020年1月1月より適用する新規約では、「本サービス利用」という項目の中で、ユーザーへの利用方法について次のように明記されている。
<本サービスのコンテンツの削除または配信の拒否、本サービス上のコンテンツの配信または表示の制限、利用者の資格停止または終了、および利用者名の返還を要求することができるものとします>
<本サービス上のコンテンツの配信または表示の制限>という一文はこれまでの利用規約にはなく、今回新しく追加された内容だ。
Twitterが今回の規約変更によってユーザーの<コンテンツの配信または表示>にどれほど干渉するかは不明だが、Twitter上に成人向けの画像や動画が投稿できなくなる可能性があるとして、海外のアダルトコンテンツ・クリエイターたちが不安を抱いていると
「Real Sound TECH(テック)」は報じている。
昨年12月には、メディアミックス・ウェブログサービスのTumblr(タンブラー)がアダルトコンテンツの掲載を禁止し、AIによる自動検出で表示をブロックする仕組みを導入。アダルトコンテンツを扱うユーザーの多くは活動の場を他のSNSサービスに移した。
しかし現状の日本のTwitterは、“アダルトコンテンツ・クリエイター”の活躍の場といえるのだろうか。イラスト投稿と共有など、クリエイターとユーザーの交流の場として機能している側面も確かにあるが、他方であまりにリスキーなアダルト投稿が野放しにされていた現実もある。
ネットではTwitterの規制について、「これまでが緩すぎた」「やっとかって感じ」「アダルト動画とか写真とか普通に流れてたのはおかしいと思ってた」という声が相次いでいる。
Twitterで共有されるアダルトコンテンツ
Twitterは公に「13歳以上のユーザーを対象としたサービス」と謳っているが、アダルトな動画や画像を含んだツイートが垂れ流しの状態だ。
試しに卑猥なワードをTwitterの検索にかけてみれば、すぐにわかる。アダルトビデオのGIF動画や画像、または一般人が肌を露出させ性行為や自慰行為に及んでいる動画または画像を含むツイートが大量に引っかかるのだ。
個人アカウントがリプライやDM(ダイレクトメッセージ)でのやり取りを介して性行為を誘いかけるツイートもあれば、風俗や出会い系の広告も膨大。そもそもその個人アカウントも本人かどうかは怪しく、業者が跋扈している可能性は高いだろう。
Twitterユーザーの間では、かねてよりアダルトコンテンツが野放しとなっている状況に疑問を抱く声も見られていた。とりわけ子どもを持つ親世代からは、「子どもにスマホを持たせていいのか……」という不安が多いが、上述したような現状である以上、その危惧はもっともだろう。
Twitterの「センシティブな画像/動画に関するポリシー」
<ライブ放送、プロフィール画像、またはヘッダー画像として、過度にグロテスク、暴力的、または成人向けコンテンツを含む画像/動画を投稿することはできません。強姦及び性的暴行を含む画像/動画も許可されていません>
あくまでも「ライブ放送、プロフィール画像、またはヘッダー画像」についてだったが、来年以降はこの限りではないかもしれない。ここでは、「グロテスクなコンテンツ」「ヘイト表現を伴う画像」「写実的な暴力描写」について言及しているほか、アダルトコンテンツを規制する下記の項目もある(「センシティブな画像/動画に関するポリシー」から引用)。
「成人向けコンテンツ」
・全裸または半裸(性器、臀部、または胸部を拡大したものを含みますが、授乳に関連するコンテンツは除外されます)
・性行為をしているように見せること
・性交などの性的行為全般 – 人間または人間的な特徴を持った動物が登場する、漫画/アニメまたはアダルト漫画/アニメも該当します。
(注記) 芸術、医療、健康、または教育を目的としたコンテンツは例外となる場合があります。
「強姦及び性的暴行に関するコンテンツ」
・強姦及びその他の形での性的暴行、または参加者の同意なく実行された性的行為(同意がないことを装ったものを含む)
・性に絡む暴力 – 私的な状況で個人に身体的危害を加える(合意のもとでの行為なのかは一見しただけでは不明)
ポリシー違反に当たらないケースとしては、投稿する側が「画像/動画をセンシティブな内容」として設定し、他のユーザーが見たくないような内容であることをTwitter側に知らせることが条件となっている。
つまり、原則として投稿する側は自由にコンテンツを投稿することができ、また「センシティブな内容」かどうかの判断も委ねられてきた。
これまでも明らかなポリシー違反の場合、それを見つけたユーザーがTwitter側に報告すれば対応措置が取られるものの、そうした”自浄作用”がどこまで働いているかは疑問だった。プラットフォームを提供するTwitter側の主導で、無法地帯は変わりゆくのだろうか。
FacebookにInstagram、YouTubeも規制強化の流れ
Twitterと並ぶ大手SNSサービスのFacebookやInstagramは、この1年間でアダルトコンテンツを含む投稿内容への規制の強化を進めてきた。
YouTubeでは「性的満足を目的とした動画」はポリシー違反としているが、投稿動画の許容基準をより厳しくしており、過激と判断された動画はBAN(コンテンツ削除やアカウント停止)される。
さらにYouTubeは12月11日、ハラスメントポリシーを強化すると発表。人種、性別、性的指向に基づいて人を侮辱する動画は、対象者が著名人かどうかに関わらず削除されるようになった。また、婉曲的・暗示的な表現を含む個人への脅迫や嫌がらせも規制され、動画による収益化が無効になる可能性があるとしている。
世界中の人々が日常的にSNSにアクセスして情報を得ている現在、SNSがユーザーに与える影響は過小評価できない。それぞれのプラットフォームがその責任を自覚し、コンテンツを選別する流れは、今後さらに加速するだろう。