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いつも健やかに暮らしたいというのは誰しもが願うことだ。だがストレスや不安と無縁で生きていくことは難しい。
暗い気持ちに押しつぶされそうになる日々...なんて考えただけで嫌になってしまうが、中には人生にとって必要なストレスや不安というのもあるという。
適度なストレスならば、自らを成長させたり満足のいく暮らしを送るための重要なサインとなり、休養とのバランスをとることで「心の健康」につなげることができるというのだ。
ストレスと不安は日常生活で大切な役割を担っている
先日、アメリカ心理学会でリサ・ダモール博士が発表したところによると、ストレスや不安には好ましい側面もあるのだという。
ストレスや不安は成長のチャンスを経験しているというサインであり、きちんと受け入れるべきものなのだそうだ。
ストレスと不安に関して、私たち心理学者が知っていることと、社会が抱く印象とには大きな隔たりがある
ダモール博士は、常に快適でストレスフリーでいることを推奨するいわゆる「幸せ産業」ではうまくいかないと説く。
実際には、ストレスと不安は日常生活の避けることができない側面で、大切な役割を担っているのだという。
周囲に潜む危険を察知できるのはストレスや不安のおかげ
不安は体内に備わった警報装置。周囲や内部にあるストレスを知らせてくれる。運転中、近くにフラフラ走っている車を見つけたら不安を感じるだろう。それは運転の仕方を変えろという警報だ。
物事を先延ばしにしていることで不安になったのなら、それは仕事に取りかかれと警報装置が鳴っているのだ
とダモール博士は言う。
つまり、ストレスと不安は周囲に潜む危険を察知しやすいよう手がかりを与えてくれている進化の賜物だということだ。
その声に耳をかさずに、目を瞑って逃げようとすれば、いっそう痛い目に遭うことだろう。
ストレスや不安から逃げているからさらに不安になるループ
回避不安(avoidance anxiety)というものがある。これは必要なことを避けているときに感じる不安のことで、逃げ回っている対象よりもずっとタチの悪いものであることが多い。
あなたが今感じている不安は目の前にある問題のせいだと思っているかもしれない。しかし、本当はそれから逃げているから不安になっているというのはよくあることだ。
ストレスや不安は確かにいい気分ではないかもしれないが、それは長期的にはもっと満足のいく生活につながる大切な情報を伝えようとしている。
適度なストレスならば成長のサイン
ダモール博士が言いたいことのひとつは、ストレスと不安が、自分が今成長し、新しことを成し遂げようとしているサインであるということだ。
私たちがストレスを感じる出来事にさらされているとき、実際にはこれまでできなかったようなことをできるようになる力を育んでいる。
それに私たちは新しい困難に直面してもずっと柔軟でいられる。大変な経験を切り抜ければ、また別の困難に見舞われてもさらに柔軟に対応できるようになるのだ
気を付けなければならない不健康なストレス
もちろん、常日頃からストレスや不安を受け入れろというわけではない。中にはためにならないストレスもあるし慢性的なストレスは、心や体を蝕んでいく。
ストレスや不安を健康なレベルから不健康なレベルにしてしまってはいけない。慢性的だったり、トラウマだったりするようなストレスは不健康だ。
特に理由もないのに四六時中、不安を感じていたり、些細な事柄にもかかわらず、体が臨戦態勢になってしまうのならば、それもやはり健康ではない
不健康なストレスの見分け方
では、あなたが感じているストレスや不安が健康なものかどうか、どのようにして見分ければいいのだろうか?
ダモール博士は、体の健康と同じように、心の健康についても考えてみればいいと話す。
健全か不健康かどうかの違いは、回復できるかどうか。心が健康であっても、ときどきはひどいストレスや不安に苛まれることがある。そんなとき、これは治るだろうか? と考えてみるといいだろう
体が健康な人であっても、しばしば風邪でダウンすることはある。だが、それは一時的なもので、その人が不健康とは言わないだろう。
同様に、一時的にストレスや不安を感じていても、心が病んでいるということにはならない。
慢性的なストレスや心身を衰弱させるような不安を抱えているのでない限りは、長期的にそれらが私たちを傷つけるようなことはない。
健康なストレスと不安であれば、それらをチャンスと受け入れて、目の前の挑戦に挑んでみよう。きっと、それまでよりずっと素敵なあなたになれるるはずだ。
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