2019年9月19日木曜日

健康状態を改善する取り組み

うつ病や不安障害を抱える患者に医師が観葉植物を処方。自然との触れ合いを利用し健康状態を改善する取り組み

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Free-Photos /pixabay

 緑あふれる森の中にいると、心が穏やかになり、気持ちがリラックスできるという人は多いだろう。
自然と触れ合うことは、精神状態を安定させるだけでなく、時に健康状態を改善させる大きな効果をもたらす。

 イギリスの一部の地域で、そうした自然との繋がりを使用して、うつ病や不安障害(不安神経症)を抱える患者のために、医師が観葉植物を処方し、病院敷地内での植物・野菜栽培に参加させることで、メンタルヘルスの改善を行う取り組みが実施されているという。

 現在、予算が厳しく限られているイギリスのNHS(国民保険サービス)では、園芸療法を通してこころの病気を防止することへの関心が高まっており、「イギリス全体に普及すれば、ヘルスケアの大きな革命的変化になる」と支援者は話している。 

非営利団体が園芸療法プログラムを支援


 マンチェスターのコーンブルック・メディカル・プラクティス(一般診療所)では、不安障害(不安神経症)やうつ病患者の治療のために、観葉植物を処方している。

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 このイギリス初となる取り組みを支援しているのが、非営利団体『Sow the City』だ。

 同団体は、複数の病院や医師と提携し、園芸療法を治療に取り入れることを支援。植物を患者に処方する理由は、「たとえ単一の植物であっても、自然との触れ合いが健康に効果的である」という考えに基づいている。

 責任者のジョン・ロスさんは、「社会的に孤立している人は、健康状態が良くないという証拠がある」と話しており、コーンブルック診療所が独自の薬草園を設立することを支援し、患者がそれを維持していくことを歓迎している。


園芸療法プログラムを患者の回復に役立てる


 今回、イギリスで初めてとなる植物処方だが、『Sow the City』では数年にわたり、医療提供者と連携して、ガーデニングに取り組んできた。

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 特に、園芸療法プログラムの一環として、同団体はマンチェスターのコミュニティ・ガーデンの育成に力を入れており、ガーデニングを通してコミュニティーに関わる患者の回復プロセスに役立てることを目的としている。

 中でも、医師や患者と協力し合い、それぞれの症状を抱える患者にどのタイプの庭が適しているかを判断しプログラムを実施することは、患者の回復プロセスに大きく繋がるため、とても重要だ。


敷地内に設置された菜園でセラピー療法


 長期にわたりこころの病を抱えている患者たちを治療している病院の敷地内には、レモンバームやキャットミントなどのハーブ栽培のスペースや、果物や野菜を栽培するスペースが設置されている。

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日光を浴びながら他の患者たちと触れ合い、ハーブや果物・野菜、または花などの植物を育てていくことで、患者はリラックスできるだけでなく、健康面の回復や社会への自信に繋がっていく。

 また、処方された植物を自宅で育てた後、共有スペースに植え替え、コミュニティーで育てていくという方法も取り入れており、育てた野菜や果物は患者が実際に食べることができるという物理的な健康上の利点もある。

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園芸療法はヘルスケアの大きなパラダイムシフト


 もちろん、植物に囲まれてただリラックスするだけでも十分効果があるとみられているが、ガーデニングを試みる患者には、団体スタッフがきちんと訓練を行い、植物たちの世話をする方法を教える。

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できる限り、簡単に手入れができるようにして、植物が元気に育っていくために世話をするプログラムを設定します。

病院には使われていないスペースが結構あるので、いいことのためにそれを利用するのです。公立病院の食事は美味しいとは言えませんからね。(ロスさん)

 医師のオフィス内で、一種のコミュニティプロジェクトを提供し、人々が集まり、他の患者と一緒に植物や食物の栽培を行うことで、患者の健康状態を改善していく園芸療法は、イギリスでは徐々に注目されつつあるようだ。


NHS(英国民保健サービス)は、厳しい予算の中で限られた資金しかありません。彼らは、全ての治療にお金を払い続けていけないことに気付いたのです。そこで、病気になるのを予防しようと考え始めたというわけです。

NHSは、園芸療法を通してうつ病や不安障害を防止する方法を見つけようとしています。これは、ヘルスケアの大きなパラダイムシフト(革命的変化)と言っていいでしょう。(ロスさん)

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