2019年11月16日土曜日

「ブルーシート」外国人に伝わらない?

「ブルーシート」外国人に伝わらない? やさしい日本語で見えたこと
「レジャーシート」「一畳分の大きさ」は外国人に伝わるか

「レジャーシート」「一畳分の大きさ」は外国人に伝わるか

日本語に慣れていない人に、「本当に伝わるやさしいニュース」を目指して、外国出身の人と作る「やさしい日本語ニュース」。

今回「やさしい日本語」にしたのは、「ブルーシートだらけの花見を変えたい 『畳柄レジャーシート』が話題」という記事です。
「畳柄のレジャーシート」が開発され、花見の時期によく見かけるブルーシートの代わりに使うと「風情があって良い」と、ツイッター上で話題になっている、という内容です花見の時期によく見かけるブルーシートの代わりに使うと「風情があって良い」と、。なるべくやさしい日本語にしましたが、意外な言葉が伝わりにくいことが分かりました。



外国人の協力でできた【本当にやさしい日本語ニュース】はこちら
「畳(たたみ)」にみえる紙(かみ)のしきもの【やさしい日本語】



外来語だったら伝わる?



まず、日本人記者が、感覚で「やさしい日本語」に翻訳した記事を、都内の介護施設で働くインドネシア人2人に見てもらいました。

来日9年目のプスピタさん(32)と、技能実習生として今年7月に日本に来たばかりのユダさん(27)です。

ユダさんの日本語学習歴は、インドネシアの専門学校でわずか6カ月だけと言います。でも「やさしい日本語」の記事を見せると、漢字にふりがなを振ってはいますが、すらすらと読んでいきます。意味もほとんど分かります。


「やさしい日本語、よめますよ」とユダさん(左)とプスピタさん
「やさしい日本語、よめますよ」とユダさん(左)とプスピタさん


ところがユダさんは「シート」の前でかたまってしまいました。

プスピタさんは「日本語を勉強していても、カタカナを読むのは苦手な人が多いです。私も苦手です」と解説してくれました。
記者が「しーと」と読み上げました。それでも、ユダさんの顔は晴れません。
プスピタさんがインドネシア語で「敷物(ティカル)」と訳して伝えると、うなづきました。

「シート」なら外来語だから、きっと外国人には分かりやすい言葉だろうと思っていました。
でも、そもそも「外来語」って、どこから来た言葉なのか、考えずに使っていました。シートは英語が由来。インドネシアの人にとって、「シート」が分かりやすいわけではない、と気づきました。


「たたみ、ひとつぶん」で思い浮かべる大きさは



この畳シートの大きさについて、元の原稿は「大きさは京間1畳と同じ」となっていました。
私はもっとシンプルに「畳ひとつと同じぐらいの大きさ」と訳しました。

でも、ユダさんは「畳ひとつって、とても小さいですよね」と驚きます。
どういうこと? ユダさんの頭にある畳のイメージを聞いてみると、「私が働く介護施設のおばあちゃんが、よく座っている椅子に敷いてありますよ。畳」。よく聞くと、畳のような座布団でした。

確かに、日本でも和室を見る機会は減っています。和室を見たことがあるとしても、そこにある畳が一つ一つ分解できて、どんな大きさかをすぐに頭に浮かべるなんて難しい、そう考えれば、分かります。

いかに自分の想像力が「常識」に縛られていたのかを痛感しました。


話題になっている畳柄のレジャーシート
話題になっている畳柄のレジャーシート

日本らしさ「風情」には理解



「風情がある」という言葉は、やさしい日本語で「日本らしい」と訳しました。
これが、一番伝えにくいと予想していましたが、ブルーシートで一杯の花見の写真を見せたとき、ユダさんは「確かに、これだと残念ですね……。畳だと日本らしいです」と感想を漏らしました。

意外! 「日本らしい」という感覚が最もすんなりと伝わりました。
花見はまだ経験したことがないというユダさん。
でも、漫画や日本映画を通して日本らしさについて学び、期待を膨らませて来日したようです。「来年の春には、ぜひ、花見がしたいです。桜、憧れています」とにっこりしてくれました。

プスピタさんは「おすすめは新宿御苑」とアドバイスします。なんで?と聞くと「上野の花見はちょっと……お酒くさかったです。もちろん、それも日本の伝統だと理解しています。でも、私は新宿の方が落ち着きます」。イスラム教徒のプスピタさんは、日本の事情も尊重した上で、話してくれました。


ブルーシートが広がる花見の様子
ブルーシートが広がる花見の様子



カタカナ語は外国人にとってわかりやすいものではありません。その理由は、1)和製英語(英語に存在しない言葉)が多い、2)発音が原語から離れているなどです。
例えば「アイドリング・ストップ」は、英語では”No idling”。
「ランニング」は5単位(5拍)で発音するのに、英語の”running”[rʌniŋ]は2単位(2音節)で発音するため、カタカナ語からだと原語の発音が想像できません。

カタカナ語だらけの文章は、日本語に慣れた人にもわかりにくいものです。使う前に、原語での意味で使われているか調べて、自信が持てないときは使わないようにしましょう。外国人だけでなく、日本人にもやさしい文章になるはずです。

庵功雄(いおり・いさお)さん:一橋大学国際教育交流センター教授。日本語教育の専門家。主な著書に『やさしい日本語――多文化共生社会へ』(岩波新書)、『<やさしい日本語>と多文化共生』(ココ出版・共編著)など。

私の未来は私が決める

30歳を過ぎて結婚しても「アイドル」でいられる。柏木由紀の「30歳まで卒業しない宣言」から

 AKB48の柏木由紀が13日放送の『ベストヒット歌謡祭2019』(日本テレビ系)で、「30歳までグループを卒業しない」と宣言した。現在、柏木由紀は28歳。30歳の誕生日を迎えるのは2021年7月だ。
 番組では事前に柏木由紀から重大発表があると告知していた。柏木はグループの3期生で、12年の長きに渡り主力メンバーとして活躍してきたため、放送前は「ついに卒業発表では?」との憶測が飛び交っていたが、柏木の口から飛び出したのは「AKBが大好きなので、私は30歳まで卒業しません」という言葉だった。
 柏木のファンからは「卒業しなくて安心した」という安堵の声も上がったが、「重大発表でもなんでもない」「煽りすぎ」と叩く向きも強く、若干の炎上状態にある。また、そもそも「30歳までアイドル宣言」が“異例”であること自体、若さを過大評価しているといえるのではないか。
 実際、今は30歳を超え、結婚してもアイドル活動を続ける女性も出てきている。

「結婚を機に辞めるってすごくもったいない」

 たとえば、新潟県を活動拠点とするアイドルグループ・NegiccoのNao☆は、31歳となる今年2月に結婚を発表した。Nao☆は結婚後もアイドル活動を継続し、WEBメディア「telling」のインタビューでは、「30歳でアイドルって言えるの?」といった言葉を乗り越え、結婚とアイドルの両立について以下のように語っている。
<みんな下積みとか頑張ってやってきたのに結婚を機に辞めるってすごくもったいないことだと思います。だからNegiccoは、「頑張ってきたことを辞めずにずっと続けられるアイドル」という姿をこれからも見せていけるように頑張っていきたいです>
 また、でんぱ組.incのメンバー・古川未鈴は、今年9月18日に行われたライブの最中に漫画家の麻生周一との結婚を発表した。古川は結婚後もアイドル活動を続けることに葛藤があったというが、レーベルスタッフの後押しもあって決断したとブログに綴っている。
<結婚してもアイドルが出来るような文化になるといいな、と昔から言ってはいたものの
実際それに直面した時にやっぱり無理がある。。。と思い
私は発表して休止or卒業しようと思うとレーベルの方に伝えました。
普通は今後の計画とかもあるのでそんないきなり休みとか取れるわけがないんです。
でも「何かあったらその時考えようよ、今決めなくてもいいよ」と言ってくれました。
こんな優しい事を言ってくれるんだな、、と。
これも一つの要因です>
 ジャニーズなど男性アイドルは30歳を過ぎても、結婚をしても、現役アイドルとして活躍している。36歳の二宮和也が結婚を発表したばかりの嵐は全員アラフォーだし、関ジャニ∞もそうだ。一方、女性アイドルは「若くなくてはならない」「結婚するなら卒業する」という暗黙の了解があった。
 しかし、そうした暗黙ルールは誰が望んだものだったのだろうか。Nao☆や古川未鈴が結婚を発表したとき、彼女たちのファンの多くは、祝福を贈っていた。それは、彼女たちがファンにとっての「疑似恋愛の対象」というだけでなく、「頑張っているアイドルを応援したい」というマインドが醸成され、良好な関係性が築かれていたからに他ならないだろう。同時に、「アイドル=若い未婚女性」という限定的な価値観も消失しつつある。
 今年6月にアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業した和田彩花は、オフィシャルサイトのトップに、次のメッセージを載せている。
<私が女であろうが、なかろうが、
私がアイドルであろうが、なかろうが、
私の未来は私が決める
こんなことを口にせずとも叶えたいものだが、
口にしなければ未来を自分でつかむことは難しそうだ
だから、私は口にする
私の未来は私が決める
私は女であり、アイドルだ、>
 「アイドル」はお人形ではないし、主体性を持って生きている人間だ。若さや結婚云々に縛られた「アイドル」の定義は、あまりにも狭い。

2019年11月15日金曜日

なぜ法人税を上げないのか

増税で貧しくなっても「共働きすれば良い」「スマホ決済で乗り切れ」? なぜ法人税を上げないのか
増税で貧しくなっても「共働きすれば良い」「スマホ決済で乗り切れ」? なぜ法人税を上げないのかの画像1

 10月から消費税が8%から10%に上がって1カ月が経った。総合転職エージェントの株式会社ワークポートが全国の転職希望者を対象に行った調査によると、「消費増税1カ月後の変化」として消費増税を負担に感じているとの回答が57.8%と半数以上にのぼっている。 
 また、帝国データバンクは10月の景気動向について、「10業界中8業界が悪化した」と試算。台風の影響を考慮しつつも、消費増税の影響により「小売業」や「サービス業」などの消費関連業種が打撃を受けたと分析した。わすか2%、されど2%。“消費税10%”のインパクトは大きい。
 税金は国の予算となるが、国民の生活保障にしっかり役立てられているかは疑問だ。たとえば性犯罪被害者をサポートするワンストップセンターの人件費など予算は削減され、政府が毎年4月に新宿御苑で開催する「桜を見る会」の招待客人数と支出額が増え続けていることが参議院予算委員会で問題視された。「桜を見る会」は安倍晋三首相や閣僚らが多数の地元後援会員を招待していたことも発覚、法的な問題も追及されており来年度の開催は見送ることが発表された。
 このような情勢では納税者の不安と不満もたまるばかりだが、11月5日に放送された『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)では、「“大増税時代”を生き抜く道!~消費税増税から1ヶ月~」といったタイトルで消費増税後の生活を特集。これもまた、9月放送の『クローズアップ現在+』同様に、納税者である消費者がいかに工夫して順応するかという内容だった。
 番組冒頭、千葉県在住の夫婦と子供2人の4人家族が取り上げられ、妻は専業主婦であったが消費増税を期に仕事を始める姿が映される。「消費増税分の家計の支出増を、専業主婦が働くことで補填する」というストーリーだった。より多くの国民が働き、納税しろという話である。こうしたケースを取り上げて「増税後を生き抜く」と言われても、しらけるばかりだ。
 現金派を主張する中年男性が、スマホ決済のやり方について子供たちからレクチャーされる場面も取り上げられた。スマホ決済をすれば2020年6月まで最大5%が還元される取り組みが実施されており、「スマホ決済をマスターして消費増税を乗り切ろう」ということだ。しかしスマホ決済により還元されるポイントには税金が充てられており、その予算額は今年度分だけでも1786億円を計上。本末転倒ではないだろうか。

法人税の代わりに消費税を引き上げている?

 番組では日本経済新聞上級論説委員の大林尚氏がスタジオに登場し、次のように消費増税の必要性を説いた。
「消費税の税収は年金や医療など社会保障のために使われています」
「将来の負担を減らすために、増税をして“痛みを分かち合う”。これが消費税10%の引き上げになった」
「(将来的には)消費税率は10%ではもたない。2040年には国民の4割が65歳以上になり、社会保障費は約190兆円になるので最終的に15%までの引き上げは避けられない」
 財務省が7月に発表した2018年度の税収総額は約60兆4000億円と過去最高。その内訳を見てみると、所得税(19.9兆円)、法人税(12.3兆円)、消費税(17.6兆円)、その他(11.6兆円)となっている。消費税の割合は非常に高く、反面、法人税は低い。約30年前と比較してみよう。1990年度の税収総額(約60兆1000億円)を見ると、所得税(26.0兆円)、法人税(18.4兆円)、消費税(4.6兆円)、その他(11.1兆円)となっている。所得税と法人税は減少しているのだ。これは所得税の最高税率が1990年度(70%)よりも2018年度(45%)が大きく下がっているため。同様に法人税率も1990年度(40%)から2018年度(23.2%)と引き下げられている。
 これではまるで、「所得税や法人税を下げる代わりに消費税を上げられている」かのようだ。実際、番組では消費税廃止を訴える政党「れいわ新選組」の山本太郎代表の主張も紹介。山本氏は、「日本は20年以上に及ぶデフレで成長がほとんどできていない。この状況で強制的な物価の引き上げである消費増税がされれば消費はより冷え込む」「税の基本は何かを考えてほしい。『無いところから取るな。あるところから取れ』という当たり前の考え方です。法人税・所得税を変える税制改革をしていく」と、大林氏と全く逆の見解を示した。
 消費税はすでに10%となっており、消費者は「順応」せざるを得ない。しかし消費増税で消費意欲が抑制されれば、モノやサービスが売れず、結果的に景気は伸び悩む。今の日本に必要な税制改革は、消費税UPではなかったはずだ。

その時代に生きた人々の息づかいが感じられる写真集に

1985年~1986年の大阪で撮影された1000枚超ものモノクロ写真が一挙公開、その時代に生きた人々の息づかいが感じられる写真集に 2020年2月8日、 kouichi morimoto さんが1985年から1986年ごろに大阪で撮影した1000枚もの写真を、写...