2019年12月30日月曜日

「人生の意味」

「人生の意味」を理解する年齢が調査で特定される




幸福や健康の鍵となるのは「自分の人生に意味がある」と感じることであると、これまでの研究で幾度となく示されていますが、一方で「人生の意味を理解している」と断言できる人はそう多くないはず。そんな中、新たな研究では、人生の意味を理解していると実感できる年齢が存在することが示されました。

カリフォルニア大学サンディエゴ校で精神医学を研究するAwais Aftab氏らの研究チームは、21歳から100歳までの被験者1042人を対象にアンケート調査を行いました。このアンケートの結果、「人は60歳前後で人生の意味を知った実感を得られる傾向がある」と示されました。60歳前後の回答者は「人生の意味を探している」と答えた人が最も少なく、「人生の意味の存在を感じる」人が最も多いとのこと。

Aftab氏は「人生の意味は人それぞれですが、いくつかの点に要約されます」と語ります。既存の研究から「アイデンティティ」「友人や家族との関係」「長期的な目標への達成感」「社会への貢献」「世界をよくするための利他主義の行動」といった要素が人生の意味において重要な役割を果たすと示されている、とAftab氏。

調査の結果、20代や30代の被験者は人生の意味を探している傾向が高く、人生の意味を感じることが少ないことが示されています。これは、この年代の人々がさまざまな心理的発達段階を経て、人間関係やキャリアを求めるためです。これは普通のことですが、一方で、人生の意味を求めることはメンタルヘルスに負の影響を及ぼすことも研究では示されています。


しかし、その後40~50代になると、人はキャリアや人間関係を築き、人生の意味を求めなくなり、人生の意味を認識する機会が増えるそうです。

その後、60歳になると人は人生の意味を探索しなくなり、人生の意味を感じる割合がピークに達します。これは肉体の健康と精神の健康が向上する結果だとみられています。

ただし、60歳のピークを過ぎると、再び人は人生の意味を探し出すとAftab氏は述べています。

60歳を過ぎると、隠退生活や人との死別、健康問題の増加など、「人生の意味を見つけた」という感覚の理由となっていたものが失われていきます。このため、人は他の理由を見つけ出そうとするようになるとのこと。

特に健康上の問題は、この転換の大きなポイントとなります。調査では自己評価による身体の健康度や認知力が年齢と共に下がるにつれ、身体の変化に合わせた、新しい目標を見つける必要性がでてくると示されています。ただし、全ての人にこのような転換が当てはまるわけではなく、文化的活動や趣味、運動といったことが生涯を通じて身体的・精神的な健康を維持することに役立つと研究者は述べています。


今回の研究は、「人生の意味」は年齢と共に変化するため、ある年代で「人生の意味」を悟ったとしても、それが別の年代で通じるわけではないことを示しています。

その一方、人生の意味を見つけることは身体的にも精神的にも重要ですが、探索には必ずしも数十年を要するわけではありません。「人生を理解するための物語の力」に焦点を当てたグループ療法、あるいは不安を解消するグループ療法は効果がある可能性がある、とAftab氏は述べています。また、信頼ある人間関係を築くことや、趣味を持つことも役に立つとのことです。

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