2019年12月25日水曜日

糖尿病は「余剰となる脂肪が内臓にあふれ出して発生する」

糖尿病は「脂肪が肝臓からすい臓にあふれ出して」発症するということが判明



生活習慣病である2型糖尿病の症状が安定した人と、一度安定した糖尿病の症状が再発した人を比較する研究により、糖尿病は「余剰となる脂肪が内臓にあふれ出して発生する」というメカニズムが原因であることが突き止められました。



イギリスのニューカッスル大学に勤めるロイ・テイラー教授が率いる研究チームは、イギリスの国民保健サービス(NHS)が実施した大規模な糖尿病寛解臨床試験(DiRECT)の結果を元に、「糖尿病が寛解(症状が落ち着いて安定した状態)した人」と「糖尿病が寛解した後再発した人」を比較する研究を行いました。

今回の研究から2年前に行われたDiRECTでは、カロリー制限のある食事により参加者の4分の1が15kg以上の減量に成功し、参加した糖尿病患者10人のうち9人の症状が寛解するという成果が上がりました。そこでテイラー教授は、以前DiRECTに参加した人を集めて、改めて健康診断を実施しました。その結果、元DiRECT参加者の大半が糖尿病を再発しておらず、糖尿病の治療薬を一切服用していないことが分かりました。しかし、一部の参加者は糖尿病が再発しており、体重も元通りになってしまっていました。


次に、テイラー教授が糖尿病が寛解した人の血液を検査して、肝臓で生成される中性脂肪の1種であるトリグリセリドの血中量を計測したところ、正常な値だということが確認されました。また、内臓をスキャンした結果から、すい臓にも脂肪が蓄積されておらず、すい臓のインスリン生成機能も十分に働いていることが分かりました。

一方、糖尿病が再発してしまった人の血中トリグリセリド量は、糖尿病が寛解した時に比べて激増しており、すい臓にも脂肪が大量に蓄積されていました。テイラー教授はこの結果について、「人が皮下に蓄えることができる脂肪の限界量には個人差がありますが、この限界量を超えると脂肪は肝臓に蓄積されます。そして、肝臓に脂肪が蓄積されすぎると、今度は脂肪がすい臓などの他の器官にあふれ出すようにして蓄積されます。これにより、すい臓でインスリンを生産しているすい臓β細胞が機能不全を起こし、2型糖尿病が引き起こされるのです」と述べました。肝臓とすい臓の両方に蓄積された脂肪が糖尿病を引き起こしているというメカニズムを、テイラー教授は「ツインサイクル仮説」と呼んでいるとのこと。

テイラー教授はさらに、「ツインサイクル仮説によれば、2型糖尿病が『体内に過剰な脂肪が蓄積されている』という、ごくシンプルな状態であるとみなせます。言い換えれば、継続的な食事療法により脂肪を減量させることができれば、2型糖尿病は解消可能だということです」と述べて、今後はより効果的な糖尿病の予防や治療が可能になるとの見方を示しました。

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